研究課題
本研究では、動物の移動分散に伴って生じる様々な生態系問題を解決するために、移動スケールの異なる生態系鍵種であるオオヒキガエル、海鳥、クロマグロ、コウモリの移動分散を最先端の動物搭載型センサを用いて追跡する。本年度は以下の野外調査および解析を中心に研究を実施した。外来種オオヒキガエルに加速度・GPSデータロガーを装着し、野外での移動パターンの記録を行なった。異なる2つの地域で調査を行い、オオヒキガエルはあまり水辺を利用しないことが分かった。しかし、装着方法にもいくつか課題が残ったため、今後はそれらの問題点を解決する必要がある。海鳥類に関しては、オオミズナギドリやウミネコ等に合計で100羽以上にGPSもしくはGPS・加速度ロガーを装着し、移動分散に関するさまざまな知見が得られた。例えばウミネコでは老齢個体が内陸へ、若い個体は海洋へ採餌に向かうことがわかった。さらに、風力発電施設の建設が予定されている地域に近いところで繁殖するミズナギドリの行動圏が風発施設と隣り合うことが明らかとなり、詳細な影響評価が必要であることが示唆された。また、北海道と福井県の調査地において、キクガシラコウモリ及びヤマコウモリに対してバイオロギング調査を実施した。GPSによる軌道データを解析したところ、キクガシラコウモリは夜間において、河川や林道などの地形を利用した移動や帰巣、また移動と停滞を繰り返しながら移動していることがわかった。クロマグロの回遊行動の契機となる環境変化に対する代謝生理学的反応の特性を把握するために、溶存酸素計付き閉鎖型回流水槽を用いて、幼魚の遊泳時代謝速度及び遊泳能力を計測を世界で初めて試みた。合計21個体を入手して計測を行った。現場海域からの活魚の輸送、様々な遊泳速度での計測が可能であることが確認され、本格的計測に向けて準備が整った。以上の結果の一部を学会や論文として発表した。
2: おおむね順調に進展している
野外調査によるデータ取得およびデータ解析は順調に進展しているが、一部、新しい音響GPSロガーの試作機の装着・回収に失敗した。これに関しては来年度引き続き実施する予定である。これらを統合的に鑑みて、概ね順調に進展していると判断した。
野外データの取得に関しては順調に進んでいるため、引き続き継続して、環境の年変動に応答するであろう移動行動データの取得につとめる。また、次年度は4種から得られた行動データを集積し、統合的解析を行う。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 5件、 査読あり 16件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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