研究課題/領域番号 |
16H01775
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
益谷 央豪 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40241252)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | DNA損傷 / DNA複製 / ゲノム不安定性 / 翻訳後修飾 |
研究実績の概要 |
ゲノム上にDNA損傷を残したままDNA複製の阻害を回避する損傷トレランスと総称される機構には損傷乗り越えDNA複製(TLS)とテンプレート・スイッチ(TS)経路があり、それぞれ、PCNAの164番目のリジンがモノユビキチン化及ポリユビキチン化修飾されることによって活性化されると考えられている。さらに、本申請者らは、ヒト細胞には、PCNAホモ3量体のマルチ修飾により活性化される未知の損傷トレランス経路が存在することを見出して報告してきた。本研究では、TLSとTS及び未知の損傷トレランスの分子機構の解析に加えて、これらの損傷トレランス経路を連携制御するメカニズムを解析し、ヒト細胞の損傷トレランスの全体像の理解に資することを目的とすて、以下の解析を実施した。 TLSの制御機構について、ヒトDNAポリメラーゼ・イータの3つのPCNA相互作用モチーフをコンセンサス型に置換した変異体を発現誘導して解析するための細胞下部を作成した。また、RAD18との相互作用領域の同定を進めた。 TSの制御機構について、PCNAのポリユビキチン化に重要な役割を担うHLTFの生化学的機能解析を実施して、原著論文を作成した。 未知のDNA損傷トレランスの制御機構について、本計画で同定したPCNAのマルチユビキチン化破壊細胞と同じ経路に関わると考えられる因子群のスクリーニングを実施した結果、当初の予想に反し、対象因子群がタンパク質修飾や細胞周期制御などに関わることが判明した。研究遂行上、その本質を見極めることが不可欠であることから、DNA損傷トレランス以外の機能の解析を追加で実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モノユビキチン化とポリユビキチン化の転換に関わる分子機構を解明して発表しており、想定以上の成果を上げている。また、DNA損傷トレランス因子としては想定していなかった因子群の関与を見出し、計画がより大きく発展する可能性を考慮し、DNA損傷トレランス以外の機能の確認作業により、一部の計画が遅れたが、総合的には、順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
ユビキチン化酵素群によるモノユビキチン化とポリユビキチン化の転換機構に加えて、脱ユビキチン化酵素の役割の解析を進めることにより、より包括的に制御機構の理解を目指す。
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備考 |
http://www.riem.nagoya-u.ac.jp/genome.html
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