研究課題
本研究課題では母体ポリ塩化ビフェニルPCBs 蓄積量やその他妊娠中母体環境要因(マクロ環境要因)と母児のエピゲノムや腸内細菌叢、メタボライト、生体内パスウェイ(生体内因子)などの生体指標および生後の児の発育状態の関連を複数のオミックスを組み合わせた解析によって明らかにし、 胎児期からの次世代の健康予防医学モデルの構築および児の健康リスクを検出するバイオマーカーを創出することを目的とする。本年度は、昨年度にデータ取得が完了した網羅的DNAメチル化解析を用い、臍帯のDNAメチル化と母体血および臍帯血の環境汚染物質との関連を検討した。残留性有機汚染物質(POPs)あるいは重金属の血中濃度を測定し、メチル化アレイ上の各プローブにおけるメチル化状態との関連を相関解析により検討した。その結果、いくつかのプローブ(CpG)のメチル化状態が臍帯血中のPCB濃度あるいは重金属濃度と相関することが明らかとなった。この結果より、母体あるいは胎児期における環境汚染物質曝露が胎児にエピジェネティックな変化を与えることが示唆された。母体腸内細菌叢が胎児に影響を与える可能性が示されている。本年度は妊娠中の母体腸内細菌叢と新生児の表現型との関連を検討した。母体腸内細菌叢と新生児の体格の関連を検討した結果、腸内細菌叢の多様性が新生児の頭囲や体重と関連する結果が得られたので論文化し国際誌にアクセプトされた。母体腸内細菌叢と児の健康に関する検討では、母体腸内細菌叢の多様性が新生児のアレルギーマーカーに関連することが見出された。さらに、妊娠中の母体腸内細菌叢変化に関する基礎検討を行いその結果を国際誌に投稿中である。本研究課題により母体環境因子が胎児に及ぼす影響の一端が複数のオミックス解析を用いて明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS One
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Environ Sci Pollut Res Int
J Dev Orig Health Dis
Journal of Allergy and Clinical Immunology
巻: 143 ページ: 447~450.e11
10.1016/j.jaci.2018.09.024