研究課題
ヒトと比べ残留性有機汚染物質(POPs)の高濃度蓄積が認められる野生生物を対象に、2008~2015年に採取され愛媛大学沿岸環境科学研究センターが所有する生物環境試料バンク(es-BANK)に冷凍保存されていた魚類、鳥類、海棲・陸棲哺乳類の肝臓試料から得た抽出液を硫酸処理後、アリル炭化水素受容体(AhR)のアゴニスト活性が検出できるin vitroレポーター遺伝子アッセイに供試し、AhRアゴニスト活性を評価した。測定した全ての検体から活性が認められ、その値は鳥類で最も高く、次いで陸・海棲哺乳類 > 魚類の順であり、化学分析の結果から塩素化ダイオキシン類の寄与が判明した。次いで、高いレベルの活性が認められた野生鳥類を対象に、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で前処理した肝臓抽出液をアッセイに供試したところ、硫酸処理溶液より高い活性を示すことが明らかとなり、硫酸処理で消失するAhRアゴニストが鳥類の肝臓に残留している可能性が示された。また最終年度は、途上国のe-waste処理場で採取した土壌に残留する化学物質の網羅的スクリーニングを、2次元ガスクロマトグラフ飛行時間型高分解能質量分析計(GC×GC-HRTOFMS)を用いて実施した。その結果、POPsを含む多様な有機ハロゲン化合物が検出され、とくに世界的に生産・使用実績のないミックスハロゲン化ジフェニルエーテル (PXDEs, X=Br and/or Cl) の検出が明らかとなり、本研究で初めてe-waste処理場の土壌に残留していることを突き止めた。さらに、塩素化、臭素化、およびミックスハロゲン化ダイオキシン類 (PCDD/Fs, PBDD/Fs, PXDD/Fs)の検出も明らかとなり、高濃度を示したPXDFsはe-wasteの野焼き過程で生成したPXDEsの環化やPBDFsの塩素化により二次生成したものと推察された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 6件、 査読あり 7件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 7件)
Talanta
巻: 194 ページ: 461~468
10.1016/j.talanta.2018.10.050
Science of The Total Environment
巻: 649 ページ: 1653~1660
10.1016/j.scitotenv.2018.07.414
巻: 655 ページ: 1081~1088
10.1016/j.scitotenv.2018.11.298
巻: 621 ページ: 1115~1123
10.1016/j.scitotenv.2017.10.115
Environmental Pollution
巻: 242 ページ: 98~105
10.1016/j.envpol.2018.06.071
Molecular Phylogenetics and Evolution
巻: 122 ページ: 1~14
10.1016/j.ympev.2017.12.027
International Journal of Environment and Pollution
巻: 63 ページ: 283~283
10.1504/IJEP.2018.097863