研究実績の概要 |
鉄(Ⅲ)へム触媒の光増感 SMMXの酸化分解能を明らがにするために、4種のCu錯体(Cu-BPAC, Cu-MPAC, Cu-PHAC, Cu-MPHAC)、フタロシアニン錯体およひ鉄ポルフィリン、マンガンポルフィリンについて検討した結果、鉄ポルフィリン錯体が最も活性が高いことが明らかになった(分解率74%)。また、非ヘム、ラッカーゼモデル触媒における活性種と考えられるヒドロキシラジカルおよび一重項酸素の検出に関して、ヒドロキシラジカル測定はDMPOによるスピントラップ法を採用し、ESRの基本測定条件を設定した。また、一重項酸素の検出は2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの酸化反応により安定なニトロオキシラジカル量から一重項酸素を求める方法について検討中である。 PPCPsの酸化生成物の解析 ピリジル基を含む環状窒素で形成された非ヘム錯体の2,4,6tnbromophenol(TrBP)酸化に対する触媒活性を常温、常圧条件下で検討したところ、ピリジン配位子の数が多い非ヘム錯体Fe(tpa)とターピリジン誘導体を配位子とした非ヘム錯体Fe(terpy)は、TrBPの分解に対して高い触媒活性を示した。GC/MSおよびLC/MSによる分析の結果、酸性条件(pH4-7)において100%に近い分解率と70%以上の脱臭素率をそれぞれ示した。しかしながら、TrBPの分解率と脱臭素率は、塩基条件になるにつれ減少し、pH9よりも高い条件になるとTrBPの分解はほとんど確認されなかった。 大腸菌アッセイによる抗菌活性の評価 抗生物質の毒性を評価するための電気化学バイオアッセイを開発した。これは, 大腸菌の呼吸鎖活性に関してフェリシアン化カリウムを電子伝達メディエーターからの電流応答から評価する方法である。大腸菌を懸濁させた数十マイクロリットルの液滴は回転ディスク電極を用いて高速かく拌させ, そこにメディエーターを添加することで高い触媒電流値が得られることを見出した。さらに, 開発した試験法でテトラサイクリン誘導体3種とアンピシリンの毒性をサブマイクロモーラーレベルで評価可能であることを確認した。
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