研究課題/領域番号 |
16H01791
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
林 誠二 国立研究開発法人国立環境研究所, 福島支部, 研究グループ長 (10300849)
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研究分担者 |
恩田 裕一 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00221862)
信濃 卓郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター農業放射線研究センター, センター長 (20235542)
申 文浩 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター農業放射線研究センター, 任期付研究員 (50710216)
辻 英樹 国立研究開発法人国立環境研究所, 福島支部, 研究員 (50719599)
保高 徹生 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 主任研究員 (60610417)
仁科 一哉 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 研究員 (60637776)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | モニタリング / 環境動態評価 |
研究実績の概要 |
戦略的環境モニタリングとして、生物利用性セシウムの環境動態把握を目的に、福島県太田川上流における河川調査から、河川水中の溶存態Cs-137濃度の平水時における気温依存性と高水時における河川流量依存性を明らかにした。これを基に、対象流域におけるCs-137の年間総流出量に対して溶存態が約30%を占めることを算定した。また、太田川水系横川ダム湖で採取した底泥コア試料を対象とした、底質環境制御下での溶出実験システムの構築し、予備実験を実施した。農地・ため池の戦略的モニタリングとして、今後営農再開が期待される浜通り地域を中心にため池・河川等の農業用水中の放射性セシウム濃度のモニタリング結果や、作付制限地域を含む福島県内で実施している水稲等の実証栽培地区の結果を収集し、農地・農業用水に係わる中長期的なモニタリング・対策の戦略に必要な基本データとして整理した。 福島第一原発事故後に本課題参画機関が実施した環境中の放射性セシウム測定データの集約とコンパートメントごとの整理を行った。 初期試料を用いた初期汚染状況の推定を目的として、福島県を中心に、初期データの解析を行った。また環境省サンプリングデータを用い、河川底土のデータの粒度補正により再解析を行った。その結果、粒度補正のみで、懸濁態セシウム濃度をある程度の精度で評価することが可能となるとともに、溶存態濃度を推定する可能性が出てきた。 中長期的な水環境におけるモニタリングのあり方に関する研究会を開催し、今後の水中の低濃度の放射性セシウムのモニタリングのあり方を検討し、環境省とも内容の共有をはかった。また、IAEA-RER7008/9002/01、環境水等の放射性セシウムモニタリングコンソーシアムと連携し、低濃度の環境水の国際技能試験を実施した。試験結果を国内・国外で共有し、技術的な視点からモニタリング技術のあり方について議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
戦略的環境モニタリングに関しては、8月に連続して発生した台風時に集中的な河川水系調査を実施することにより溶存態放射性セシウムの動態に係る観測データの集積が図られたことや、当初予定通り底質環境制御を可能とする底泥溶出実験システムの構築が図れ、更に予備実験による結果から、環境制御因子(溶存酸素)の特定が図られたことから、計画通りに進捗したと判断した。また、農地・ため池を対象としたモニタリングについても、新たな試験地の設置には至らなかったものの、既設の試験地を活用したデータ収集を推進し、一定程度の成果が上げられたと考えられる。 原子力災害時の環境モニタリングデータの収集・整理についても、参画機関間の連携の下、既観測データの集約と整理作業に関して予定通りの進捗が図られた。 初期試料を用いた初期汚染状況の推定については、初期データの解析が予定通り進捗し、その結果、事故後初期の河川水中の溶存態放射性セシウム濃度の推定にある程度目途がついたと言える。 コンパートメントモデル構築と放射性物質動態の再現計算に関しては、コンパートメントごとに予定通りモデルの構築が実施できた。 30年度以降に開催を予定していた中長期的な水環境におけるモニタリングのあり方に関する検討会についても、国内の主要研究機関を一堂に集め、初年度より前倒しで開催することで、モニタリングプランの提案に向けた課題の抽出が図られたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
戦略的な環境モニタリングに関しては、山地森林域と農地・ため池のいずれのモニタリングについても継続実施することでデータの集積と解析の充実化を図る。特に、山地森林域においては、溶存態放射性セシウムの流出解析のため、発生源調査の拡充を図る。さらに、底質環境制御可能な実験システムを用いた底泥溶出特性評価のための本試験の実施とデータ解析に注力する。 原子力災害時の環境モニタリングデータの収集・整理については、参画機関間で検討を重ね、解析方法の開発・適用を含めデータの高次化に注力する。 中長期的なモニタリングプランの提案については、前年度に実施した検討会で抽出された個々課題について、新たに分科会を設けその解決策の検討と提案を図ったうえで、改めて検討会で議論する。 初期試料を用いた初期汚染状況の推定ならびにコンパートメントモデル構築と適用に関しては、いずれも解析ならびに適用作業を継続実施する。
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