研究課題
本研究では水素と有価な機能性ナノ炭素材料を炭化水素原料から同時製造(コプロダクション)することにより炭素資源循環、高付加価値炭素の製造を行い水素の安価量産化を可能とすることを目的としている。グラフェン合成過程において、活性化障壁を超えて反応を促進するために、熱化学反応のみを利用するCVD法やSiC分解法では、通常、高温の熱エネルギーが必要であるが電気化学反応が重畳される水熱電解法では、熱エネルギーに加えて電気エネルギーも併せて利用できるため、本質的に熱エネルギー消費を抑えることが出来る。本研究ではアモルファスカーボンの堆積を抑えつつ、グラフェンのみを低温成長させるために、亜臨界水を溶媒に用いた水熱電解合成法により炭素薄膜合成を行った。その結果、常温常圧水中ではアモルファスカーボンしか堆積しなかったのに対し、300℃程度の亜臨界水中で酢酸を電気分解することにより、白金陰極表面にグラフェンが合成できることを世界で始めて見出し、グラフェンの新規合成法として電気分解(水熱電解)法の開発に成功した。さらにポストグラフェン材料として注目されている遷移金属ダイカルコゲナイド ナノシートを水熱電解や超臨界流体を用いて合成し水素発生電極触媒に応用出来ることを見出した。超臨界流体を用いてバルクMoSe2結晶からMoSe2の単原子層シートまたは多層ナノシートの剥離合成を行い、その構造観察を行った結果、シート内およびエッジ部に多量の格子欠陥を含んだ活性ナノシートが生成していることが判明した。その水素発生の電極特性を評価した結果、過電圧300mVで水素発生電流密度が 10mA/cm2、ターフェル勾配90mV/decadeの活性な電極触媒材料であることが判明した。多くの欠陥を含む遷移金属ダイカルコゲナイドMoS2, MoSe2ナノシートがレアメタルフリーの高活性水素発生電極材料になることを見出した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
東北大学ホームページでの研究成果プレスリリース記事(2019年12月10日)
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Applied Surface Science
巻: 505 ページ: 144537
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Carbon
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http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2019/12/press20191210-03-Gra.html