研究課題/領域番号 |
16H01799
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
李 秀ちょる 名城大学, 経済学部, 教授 (10329683)
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研究分担者 |
陳 禮俊 山口大学, 経済学部, 教授 (00314790)
朴 勝俊 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (00351263)
松本 健一 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (00534570)
東 愛子 尚絅学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10589534)
川勝 健志 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (20411118)
李 態妍 龍谷大学, 経済学部, 教授 (30316153)
吉田 央 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40251590)
藤川 清史 名古屋大学, アジア共創教育研究機構, 教授 (60190013)
知足 章宏 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 准教授 (90525156)
何 彦旻 京都大学, 経済研究所, 研究員 (10744021)
羅 星仁 広島修道大学, 人間環境学部, 教授 (00342311)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 東アジア / 持続可能案低炭素社会 / エネルギーシステム / カーボンプライシング / E3MEマクロ計量モデル / 水・資源税 |
研究実績の概要 |
本研究は、東アジアの持続可能なエネルギー・環境・資源利用のための制度改革の方向性を明らかにすることを目的とする。この地域の経済発展がエネルギー、水及び鉱物資源、土地利用が環境に与える2050までの影響、及び環境・資源政策の各国経済への波及効果等を、理論的・実証的モデルにより定量的に評価し、持続可能な未来に向けたエネルギーシステム、産業技術、資源及び土地利用のための関連制度改革の方向性を明らかにすることである。 本研究は、大きく3つのテーマ(エネルギー・産業転換、資源・土地利用、制度設計)と関連する5つの研究課題(1.モデル構築、2.エネルギーシステム、3.産業技術転換、4.資源利用、5.制度設計・政策協力)で構成されている。 平成29年度には、Cambridge EconometricsとCambridge大学4CMRの研究者と共同でFTT-Transportation(交通選択)モジュールとFTT-Heat(ビル、建築物関連)を完成した。既存のFTT-Powerモジュールと共に、第2班と32班の課題にE3ME-Asiaモデルに上記の2つのモジュールを提供した。 これをベースに、平成29年度には、E3MEモデルにFTT電源サブモデルとFTT交通モデルを繋げ、上記の2.の2050年までに東アジア諸国がパリ協定のINDCとWEOの2度目標を達成するために必要な電源ミックスの予測、そしてカーボンプライシング(炭素税)実施の経済への影響について定量的な評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、2050年までに東アジア諸国が、パリ協定のINDCとWEOの2℃目標を達成するために必要な電源ミックスの予測、そしてその際の経済への影響について定量的な評価するために下記のような研究を進めており、ドラフトの作成を完了した。すなわち、 1.Modeling the Power Sectors in East Asia; The choice of Power Sources、 2.Economic and environmental impact by choice of power source under regulations on nuclear and coal and East Asia Supergrid、3.The choice of power sources by Feed-in Tariff and carbon taxes to meet the 2030 INDCs and 2050 targetsの3つの連携する論文作業を進めて、上記1,2番は査読つき英文ジャーナルに投稿し載せた。 さらに1.Policies for a low-carbon transition in passenger vehicles toward 2050 in East Asia: Based on the analysis using FTT-Transport model、 2.Reducing the environmental impact of buildings in East Asia: A simulation of decarbonisation policies aiming at residential heatingの2つの論文を完成し、現在英文ジャーナルに投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成28,29年度の2年間にFTTモジュールの構築努力に続き、本研究の精度を高める決め手となる、以下4つのFTTモデルをさらに精緻化する。 まず、(1)FTT:Powerモジュールは、6つの従来エネルギー電源(石炭、原子力等)と10の再生可能エネルギー電源(太陽光、風力等)が、それぞれの技術普及速度、コスト、各国のカーボンプライシングとFIT等の補助、自然条件などによってモデル内で内生的に選択させる。(2)FTT: Transportionモジュールは、既存ガソリンやディーゼル自動車と4つの低炭素自動車の技術普及速度を、コスト、カーボンプライシングおよび補助、排ガス規制などによって内生的に選択させる。(3)FTT:Industryモジュールは、エネルギー・資源大量消費業種(鉄鋼)を中心に低炭素・省資源技術の進展速度(技術のライフサイクル、コスト分布など考慮)を、炭素税などにより、モデルの中でデザインされている新しいロジックにより内生的に選択させる。(4)FTT:Agriculture/landモジュールは、LPLmL(state-pf-the-art land surface model)から東アジアを含む世界53地域の土地利用の進化過程や土地生産性データを用いて世界の農産品の価格変動(TPPなど自由貿易の影響なども反映)、バイオマス資源普及などによる農業用土地利用の変化が農業生産に与える影響を内生的に求めるようになる。 これらのモジュールの選択は、E3ME-Asiaモデルの経済活動に繋がり、経済活動水準と汚染排出水準に影響を与え、また、E3ME-Asiaの解(エネルギー価格、電力需要など)は、FTTモジュールにフィードバックされる構造になっている。 各班は、初年度にはモデル分析のために総括/モデル班と協力し、データベース整備、政策シナリオの設定とモデル分析を行う。
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