これまでの研究にて制作したPCベースの起立運動ゲーム『起立の森』のスマートフォン版を昨年度開発し、被験者(高齢者)6名、各個人宅での1年3か月の継続利用検証を行った。昨年度に生じた利用者の操作の抵抗感に関する否定的な意見は無く、順調に自宅での利用がなされている。利用者同士が起立回数を競ったり、本ゲームを話題としてコミュニケーションが進むなど、コミュニティ形成の観点でも本ゲームの実際の利用への可能性が大きく見いだされた。しかし、課題として挙げているゲーム性をより高くしてほしいとの要望が根強くあり、特に健康な高齢者にとって、どこまでのゲーム性を課すことが可能かなどの実装および検証が今後必要という結論に至った。 5年間継続しているゲームを用いたロコモ運動サークルについて、今後の自立を促すべく、会場設営準備、片付けの補助やゲーム状況の記録を利用者同士で行うことを継続している。運営スタッフ側からの介入は、PCの不具合が起こった時のみなど必要最小限にしており、利用者同士での助け合い、声掛け、利用者が新規入会者への説明などを行うなど、高齢者自らの積極的な参加が顕著となった。新規ゲームへの興味度も高く、現場での声を参考にしたゲーム開発も継続して行っており、実際の利用対象者である高齢者からの活発で率直な意見を得ている。 昨年度より継続して制作していた、高齢者向け足踏みゲームが完成し、上記のサークル内、および大野城市平野中学校の特別支援学級にて試遊を継続して行っている。当初目的としていた個人宅で利用に関しては、足踏みマットや操作PCのレンタルが必要など自宅での利用へのハードルは現時点では高いと言えるが、これが持ち運び可能、操作も容易となった場合、外出が困難な高齢者への自宅での運動として普及させることで、健康寿命を延ばす一助になる可能性が見いだされた。
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