研究課題
申請者らによるこれまでの研究から、生活習慣病の主因と考えられる毒性終末糖化産物(toxic AGEs, TAGE)が食後高血糖、果糖及び高AGEs飲食物の過剰摂取により体内で生成されることが明らかになりつつあるが、各種細胞内でのTAGEの生成/蓄積と細胞障害の発症・進展の関連については全く解明されていない。このような背景から、本研究では果糖ブドウ糖液糖や高AGEs飲食物の過剰摂取が直接影響を与える可能性の高い肝臓、心臓、脳に対する細胞障害の発症・進展メカニズムについて、従来の研究とは全く異なったTAGE研究という特色のある独創的な切り口で、これまでの研究から得られた仮説を科学的に証明して、国民の健康や食生活の安全性に関する有益な情報を広く社会に提供し、健康寿命の延伸につなげるという最終目的を達成するための計画を立案した。具体的には、平成28年度においては次の研究を実施した。1.ヒト肝実質由来株化(HepG2 & Hep3B)細胞における細胞内TAGE生成/蓄積と肝細胞障害の関連を検討し、細胞内TAGE化候補蛋白質を明らかにした(竹内、瀧野、連携研究者、研究協力者)。2.ヒト人工多能性幹(hiPS)細胞由来肝細胞を用いて上記株化細胞における細胞内TAGE生成/蓄積と肝細胞障害との相関性を解明するための予備実験を実施した(松永、研究協力者)。3.ラット初代培養心筋細胞における細胞内TAGE生成/蓄積が心筋の拍動を停止させ、心筋細胞障害を引き起こすことを明らかにした(竹内、連携研究者)。4.ヒト神経芽細胞腫 (SH-SY5Y) 細胞における細胞内TAGE生成/蓄積と神経細胞障害の関連性を評価し、神経変性疾患特有の病態との相関を検討した(郡山、竹内、連携研究者)。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通りに研究は遂行中である。
平成29年度においては、次の研究計画を遂行する。1.ヒト初代培養肝実質細胞、肝星細胞及びクッパー細胞における細胞内TAGE生成/蓄積と肝細胞障害の関連を解明する(竹内、瀧野、連携研究者、研究協力者):具体的には(1)ヒト初代培養肝細胞を用いた肝細胞障害メカニズムの解明、(2)肝星細胞及びクッパー細胞を用いた肝細胞障害メカニズムの解明。2.hiPS細胞由来肝細胞における細胞内TAGE生成/蓄積と肝細胞障害の関連を解明する(松永、研究協力者)。平成28年度に準拠して、hiPS細胞由来肝細胞内TAGE生成/蓄積が肝細胞障害を引き起こすメカニズムの解明やTAGE化蛋白質の検出・同定等を継続して行う。3.株化心筋細胞や初代培養心筋細胞を用いて、心筋細胞内TAGE生成/蓄積と心筋細胞障害に関して、より詳細な解析を行う(竹内、連携研究者)。4.神経-アストロサイト-脳血管内皮細胞における各細胞内TAGE生成/蓄積と各細胞間の機能的連携障害との関連を解明する(郡山、竹内、連携研究者)。平成28年度の実験データとノウハウを活用して、アストロサイト及び脳血管内皮細胞内にTAGEを生成/蓄積させ、脳神経細胞における現象と比較検証する。
一般向け動画サイト:YouTube動画「蛋白質糖化研究による加齢、生活習慣病と食生活」(2014/04/13)https://www.youtube.com/watch?v=elvc7eo3KJQ
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 13件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (3件)
J. Cardiol.
巻: 69 ページ: 625-631
10.1016/j.jjcc.2016.07.001.
Prog. Neuropsychopharmacol. Biol. Psychiatry
巻: 76 ページ: 42-48
10.1016/j.pnpbp.2017.02.019.
Biochem. Biophys. Res. Commun.
巻: 486 ページ: 143-148
10.1016/j.bbrc.2017.03.014.
日本未病システム学会雑誌
巻: 23 ページ: 20-30
J. Atheroscler. Thromb.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Hepatol. Res.
Exp. Dermatol.
Diagnostics
巻: 6 ページ: E23
10.3390/diagnostics6020023.
Heart Vessels.
巻: 31 ページ: 1583-1589
10.1007/s00380-015-0773-y.
アルコールと医学生物学
巻: 35 ページ: 20-22
Drug Metab. Dispos.
巻: 44 ページ: 1662-1667
10.1124/dmd.116.069336.
Adv. Exp. Med. Biol.
巻: 854 ページ: 237-243
10.1007/978-3-319-17121-0_32.
CNS Neurosci. Ther.
巻: 22 ページ: 7-14
10.1111/cns.12471.
巻: 854 ページ: 379-384
10.1007/978-3-319-17121-0_50.
http://mri-ages.kanazawa-med.labos.ac/one/
http://www.phar.nagoya-cu.ac.jp/hp/ryc/index.html
http://www.hirokoku-u.ac.jp/pharm/biochemistry/