研究課題/領域番号 |
16H01811
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
竹内 正義 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (20154982)
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研究分担者 |
松永 民秀 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (40209581)
瀧野 純一 広島国際大学, 薬学部, 講師 (00440529)
郡山 恵樹 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 准教授 (70397199)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 終末糖化産物 / Toxic AGEs / TAGE / 食生活 / 生活習慣病予防 / 健康寿命延伸 |
研究実績の概要 |
本研究では、専門分野の異なる研究者がチームを組み、細胞内毒性終末糖化産物(toxic AGEs, TAGE)の生成・蓄積と各種細胞障害との関連性を解明し、生活習慣病の発症・進展の新たな予防概念に関する情報を広く社会・国民に提供して、健康寿命の延伸につなげることを最終目的とした研究を遂行している。 平成30年度においては、1)肝実質細胞障害を引き起こすTAGE化候補蛋白質や細胞障害メカニズムを詳細に検討して新たな概念を提唱し、Nutrients誌に総説として公表した(逆井、高田、竹内)。2)肝星細胞株LX-2細胞を用いて細胞外TAGEによる影響を検討した結果、TGF-β1とTAGEを共処理した細胞は細胞生存率の減少が有意に抑えられ、また、培養上清中CollagenⅠ蛋白質が有意に増加したことから、細胞外TAGEは肝星細胞の細胞死を抑制することで細胞外基質産生量を増加させることが示唆された(瀧野、研究協力者、竹内)。3)ヒトiPS細胞由来肝細胞を用いて細胞内TAGEの生成・蓄積と細胞障害との関連性を検討した結果、細胞内TAGE量の増加に伴った細胞生存率の低下や炎症関連遺伝子の発現増加がみられた(松永、研究協力者、高田、竹内)。4)ヒト株化神経芽細胞腫細胞において、細胞内TAGE化の標的タンパク質を二次元電気泳動法で分離して探索した結果、軸索蛋白質のβチュブリンがTAGE化を受けていることが明らかになった。また、レチノイン酸により分化誘導させた細胞に対して、細胞内TAGE生成は有意な軸索伸長阻害作用を示した(郡山、古川、研究協力者、竹内)。5)ラット初代培養心筋細胞内TAGEの生成・蓄積が心筋細胞の拍動停止や心筋細胞死を引き起こす機序等を明らかにして、これらの結果をSci. Rep.誌に公表した(高田、逆井、竹内)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は、当初の計画通りに遂行中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者は、密な連携のもと研究分担者及び研究協力者の専門分野を活かし、研究計画を円滑に展開できるような共同研究の体制を構築し、計画通りに研究を遂行する。 平成28-30年度に得られた結果を元に、31年度は以下の研究計画を継続して実施する。 1)肝実質細胞株HepG2細胞を用いて、細胞内TAGE生成・蓄積に伴う肝細胞障害機序の詳細な解明、ならびに肝細胞内TAGE化蛋白質を同定する(実施者:逆井、高田、瀧野、古川、竹内)。2)肝星細胞株LX-2細胞を用いて細胞外TAGEの肝星細胞死の抑制作用に焦点を当て、TGF-β1による過剰なオートファジーが誘導する細胞死に対して遺伝子および蛋白質変化等からその機序を詳細に解析する(実施者:瀧野、研究協力者、竹内)。3)ヒトiPS細胞(hiPS)由来肝細胞における細胞内TAGE生成・蓄積と細胞障害機序を、株化肝細胞との比較により解析する。また、ヒトにおいて高血糖状態で上昇してくるTAGEの生成・蓄積の現象を、hiPS由来肝細胞を用いて再現する実験系を構築する(実施者:松永、研究協力者、竹内)。4)in vivoの神経束損傷モデルを用いて、細胞内TAGEによる神経軸索変性作用とβチュブリンの重合阻害作用を検討する。また、アストロサイトを用いた細胞内TAGE生成・蓄積と細胞障害の影響を検討する(実施者:郡山、古川、研究協力者、竹内)。5)hiPS由来心筋細胞における細胞内TAGE生成・蓄積と心筋細胞障害の関連をラット初代培養心筋細胞障害と比較検証する(実施者:高田、逆井、竹内)。6)昨年度実施した果糖ぶどう糖液糖(HFCS)/食事性AGEs投与正常ラットの保存検体(血清、肝臓、心臓、腎臓、脳)、ならびにNASHモデル動物の血清及び肝臓を購入し、肝臓内及び血中TAGE量との相関等を継続して解析する(実施者:高田、逆井、竹内)。
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