研究課題/領域番号 |
16H01817
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
大島 純 静岡大学, 情報学部, 教授 (70281722)
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研究分担者 |
秋田 喜代美 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (00242107)
横山 昌平 静岡大学, 情報学部, 准教授 (20443236)
西村 雅史 静岡大学, 情報学部, 教授 (60740363)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アクティブラーニング |
研究実績の概要 |
知識創造社会におけるアクティブラーニングは,内容理解に加えて,知識創造活動に適切に参加するスキルや能力を育成することが目的である.学習研究では,これまでそうした能力やスキルの評価として,学習後の成績や,断片的なプロセス分析に準拠してきた.本研究では,アクティブラーニングの評価のパラダイムシフトを目指して,(1)学習者の対話を音声認識技術で抽出し,(2)ネットワーク科学の理論に準拠した知識創造活動の形成的評価指標を開発し可視化・数量化することで,これまでの断片的なプロセス分析を補完し,(3) アクティブラーニングの授業実践の形成的評価と授業改善の枠組みを確立する. 本研究の目的を達成するために,(1) 音声認識技術の開発,(2) ネットワークによる可視化・評価指標の開発,そして(3) 授業研究システムパッケージ開発の下位研究チームを組織し,(1) 学習内容語彙抽出のための辞書を開発し,自動抽出の精度を向上させ(下位目標1),(2) 知識創造実践のための指標を,申請者らの先行研究を応用して開発・検証し(下位目標2),(3) 実際の授業研究場面に適用して,運用活動を分析することで(下位目標3),その使いやすさを向上させる 4 年間のデザイン研究を通して,アクティブラーニングの形成的評価ツールを開発する,本年度は初年度である. 対話の自動抽出については,西村の研究グループを中心にその基礎的技術要素の開発を進めており,重要語彙に絞った抽出のためのアルゴリズムを検討した.また,知識創造実践指標の開発については,公立高等学校で収集した対話データの分析を通して可能な指標の提案をトップレベルの国際学会レベルで行った.また,実際の授業研究場面での分析結果の利用については,中心的に関与する教員との協力関係のもと,初年度データの収集とその解析に基づいた国際学会レベルの発表の準備を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すべての下位目標について順調に進展している.フィールドとなる高等学校との日程調整のために,研究期間の延長を余儀なくされたが,その効果もあってH29年度の計画ではスムースに研究活動が進展する素地ができた.対話の自動抽出については,西村の研究グループを中心に重要語彙に絞った抽出のためのアルゴリズムを検討した.また,知識創造実践指標の開発については,公立高等学校で収集した対話データの分析を通して可能な指標の提案をトップレベルの国際学会レベルで行った.さらに,実際の授業研究場面での分析結果の利用については,中心的に関与する教員との協力関係のもと,初年度データの収集とその解析に基づいた国際学会レベルの発表の準備を進めた.
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今後の研究の推進方策 |
今後,それぞれの下位目標の達成のために各研究グループが翌年度さらに研究を推進すると同時に,具体的なフィールドにおける授業研究パッケージの開発に着手する.対話の自動抽出については,西村の研究グループを中心に発話内容の抽出だけにとどまらず,知識創造の対話の特徴を捉えることが可能で認識できそうな別のデータ種類の検討も進めることで,研究の目的達成へとアプローチする.そのため基礎的技術要素の開発を進め,実証的な実験による検証の準備を進める.また,知識創造実践指標の開発については,類似したアルゴリズムを開発する研究者グループとの交流を活性化させ,異なるレイヤーからの複眼的アプローチをさらに検討する.また,実際の授業研究場面での分析結果の利用については,中心的に関与する教員との協力関係のもと,初年度データの収集とその解析に基づいた次年度以降の授業研究プランを検討する.
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