研究課題/領域番号 |
16H01826
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大野 正夫 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (00251413)
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研究分担者 |
山本 裕二 高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 准教授 (00452699)
畠山 唯達 岡山理科大学, 付置研究所, 准教授 (80368612)
渋谷 秀敏 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (30170921)
田尻 義了 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (50457420)
足立 達朗 九州大学, 比較社会文化研究院, 助教 (00582652)
齋藤 武士 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (80402767)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 考古地磁気 / 地磁気永年変化 / 地磁気方位 / 地磁気強度 |
研究実績の概要 |
本研究では、地磁気の方位および強度の永年変化を用いた、過去数千年間の遺跡・遺物の年代決定の方法の確立を目指し研究を進めている。そのため日本における方位の標準曲線の抜本的な改定を行い、さらにこれまでは年代推定への適用が困難であった強度の標準曲線を新たに確立し、最終的に方位・強度の標準曲線を統合して、年代が未知の遺跡において数十年以内の精度で年代を測定する手法の確立を目標としている。 本年度は、まず採取済みの試料(陶邑窯跡群試料、佐山東山奥窯跡試料など)を整理し、方位・強度の測定に用いる試料を準備するとともに、新規の発掘現場(福岡市博多遺跡群、田川市上本町遺跡、武雄市甕屋窯跡など)でも試料の確保にも努めた。そしてこれらの試料の古地磁気方位・強度測定実験を開始した。今年度、実験は主に高知大学で行ったが、これと並行して測定装置の整備を進めた。特に今年度は、全自動交流消磁装置付きスピナー磁力計を九州大学に導入し、地磁気強度測定実験の中でも重要な綱川―ショー法の実験を行える環境を整備した。またこの装置のコントロール用ソフトウェアの改良も進めた。さらに今年度は、岡山県の備前焼の窯元や兵庫県の実験窯において、現代の窯での焼成実験も行った。 佐山東山奥窯跡の地磁気強度測定の結果では、最新の手法である、綱川‐ショー法とIZZIテリエ法の実験で整合的な結果が得られた。その値は、オリジナルのテリエ法による過去の測定データより有意に低い値を示しており、今後のデータの蓄積に伴って、標準曲線の確立が期待される。 また11月に開催された地球電磁気・地球惑星圏学会大会において、本研究の研究代表者と分担者4名がコンビーナーを務めて、特別セッション「考古学と地球電磁気学」を開催した。このなかで本研究の成果の発表を行った他、総合討論では種々議論を行い、今後の研究発展に向けて大きな成果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、まず採取済みの試料(陶邑窯跡群試料、佐山東山奥窯跡試料など)の整理に加え、新規の発掘現場(福岡市博多遺跡群、田川市上本町遺跡、武雄市甕屋窯跡)でも試料が確保を進め、これらの試料の古地磁気方位・強度測定実験を開始した。これと並行して測定装置の整備も進んだ。特に、本研究において最も重要な装置である、全自動交流消磁装置付きスピナー磁力計を新規に導入したほか、そのコントロール用のソフトウェアの改良も進めた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、引き続き採取済試料の整理を進めるとともに、発掘現場での新規の試料の確保にも努める。古地磁気方位については、測定実験を進めるとともに標準曲線の抜本的な改定に取り組む。これと平行して、本研究の最も重要な課題の一つである古地磁気強度測定について、考古資料に特化した新しい実験手法の開発に取り組む。特に今年度は新しい試みとして、窯の床とその窯で焼かれた土器の両方を分析し、結果を比較する予定である。
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