研究課題
平成29年度は, 1名の研究分担者,23名の連携研究者,1名の研究協力者を専門別に振り分けたブラウザ開発班,判読班,の体制で望み,高解像地形データに基づく新たな地形判読法を用いた活断層変位地形のサンプルマッピングを行った。その成果をまとめると以下の通りである。1)ブラウザ開発班では,地形判読と結果記入をさらに容易にするために,地形アナグリフ判読画像の表示と判読結果の記載機能を保有するソフトウエアの開発を推進し,クラウドサーバーで提供を開始した。これらのコンテンツをクラウド型コンピュータに搭載することで,判読班員はオンラインで結ばれ,各位のPCディスプレイ上で判読・記載(電子マッピング)・データ保存・結果に対する議論がリアルタイムで可能となった。この成果は画期的であり,次年度以降の研究進展を加速させるプラットフォームを完成させた。2)7つの地域に区分された判読班は上記クラウドサービスを利用して,断層変位地形の判読を継続的に実施した。各地域で特定の断層帯をサンプルとして集中的に班員が判読し議論を行った結果,Lidarによる5mDEMカバーエリアでは,予想以上の解像度で,これまで検出できなかった微少な断層変位地形とややブロードな撓曲変位を識別しマッピングに有効であることが判明した。またDEMデータ補完プログラムの性格上,みかけ上断層崖を誤認する箇所が散見されため,ブラウザ開発班においてチェックを行い,注意箇所を指摘することができた。3)判読班において新規に見いだした断層変位地形あるいは従来の記載を修正した場所について検討し,詳細活断層デジタルマップ[新編]に一部のデータを先行的に提供した。
3: やや遅れている
国土地理院から無償提供された高解像度DEMデータを活用しほぼ全国一律の精度で地形判読画像と判読結果入力システムが完成したが,画像のタイル化に時間を要し,その公開が平成29年度の年度末になったため,判読結果の入力が全体的に遅れた。
判読班の作業を促進するために判読画像と電子マッピング機能をもつソフトウエアが公開されたことを受けて,平成30年度初頭より判読班における結果入力と線分情報の確定を促進させる。そのために夏休み後半9月に全体合宿を敢行し,全国の活断層マッピングを予定より早く終了させる。さらにクラウド型サービスで重要な諸元検索機能の開発・搭載を実施するとともに,活断層のグルーピングと震源断層の類型化を順次進めて,震源断層モデリングを開始し当初の目的達成へ研究を推進する。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (1件)
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