高解像度地形データを活用した新たな電子活断層図の作成

2019 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 16H01829
• 研究機関: 千葉大学
• 研究代表者: 宮内 崇裕 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (00212241)
• 研究分担者: 後藤 秀昭 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (40323183)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2021-03-31
• キーワード: 高解像度DEMデータ / オンライン地形判読 / 電子マッピング / 活断層情報 / 検索エンジン / 震源断層モデル

研究実績の概要

令和元年度は， 23名の連携研究者，1名の研究協力者を専門別に振り分けたブラウザ班，判読班，震源モデル班の体制で望み，高解像地形データに基づく新たな地形判読法を用いた活断層変位地形のマッピングの集成，検索エンジンの開発，震源断層モデル諸元決定とのための活断層情報を収集した。その成果をまとめると以下の通りである。
1）ブラウザ班では，断層変位地形の凡例設定とその選択と編集作業工程が改善され，判読者は統一基準に基づいた理解を画面上で電子マッピングしながら，特記事項をメモできるようになった。さらに，同サーバー上でユーザーインターフェイスを考慮した検索エンジンを改善し，query方式の対話型検索システムが完成した。
2）判読班では，オンラインで結ばれた各位のPCディスプレイ上でアナグリフを用いた地形判読・記載（電子マッピング）・データ保存・結果に対する議論をリアルタイムで進めた。各地域で班員が主要断層帯において判読した結果，とくにこれまで検出できなかった活構造の広域的な連続性の認定が可能となることが確認できた。最終検討会議がコロナウィルス対策の影響のため，5ヶ月繰り下げとなり，次年度早期に開催できるように準備を進めた。
3）震源断層モデル班では，判読班より順次提供された活断層情報を基に震源断層のパラメータを絞り込み，検索エンジンに搭載可能な矩形モデリングをほぼ終了し，クラウド型サーバーにおいて震源断層モデルの可視化設定を終了した。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

構築したオンライン地形判読・記載クラウド型サーバーの不具合はほぼ改善され，判読班での作業が迅速に遂行することができた。また震源断層モデルの構築とサーバーへのアップロードとビジュアリゼーションが完了し，活断層情報が集約された。これにより公開可能なクラウド型サーバーの完成度が高まった。

今後の研究の推進方策

判読班の作業（活断層に関する地形判読・電子マッピング）を次年度前半で終了させる。次年度後半ではクラウド型サービスで重要な検索システムの最終チェックを行う。最後に活断層のグルーピングと震源断層の類型化を行い，震源断層モデルの高度化と予想されるセグメント・地震像を整合させ，当初の目的であるクラウド電子活断層の公開へ向けて研究を推進する。

研究成果

• [雑誌論文] 地形・地質・物理探査データに基づく2018年大阪府北部の地震の震源域周辺の活構造の再検討 (2019)
  • 著者名/発表者名: 堤 浩之・飯尾能久
  • 雑誌名: 地震 巻: 72 ページ: 57-67
  • 査読あり
• [雑誌論文] Development of Evaluation Method for Variability of Groundwater Flow Conditions associated with long-term topographic change and climate perturbations (2019)
  • 著者名/発表者名: ONOE Hironori、KOSAKA Hiroshi、MATSUOKA Toshiyuki、KOMATSU Tetsuya、TAKEUCHI Ryuji、IWATSUKI Teruki、YASUE Ken-ichi
  • 雑誌名: Journal of Nuclear Fuel Cycle and Environment 巻: 26 ページ: 3～14
  • DOI: 10.3327/jnuce.26.1_3
  • 査読あり
• [雑誌論文] Development of a portable percussion piston corer (2019)
  • 著者名/発表者名: Suganuma Yusuke、Katsuki Kota、Kaneda Heitaro、Kawamata Moto、Tanabe Yukiko、Shibata Daisuke
  • 雑誌名: The Journal of the Geological Society of Japan 巻: 125 ページ: 323～326
  • DOI: 10.5575/geosoc.2018.0065
  • 査読あり
• [雑誌論文] Evolution of Riedel-shear pop-up structures during cumulative strike-slip faulting: A case study in the Misayama-Godo area, Fujimi Town, central Japan (2019)
  • 著者名/発表者名: Sugito Nobuhiko、Sawa Hiroshi、Taniguchi Kaoru、Sato Yoshiki、Watanabe Mitsuhisa、Suzuki Yasuhiro
  • 雑誌名: Geomorphology 巻: 327 ページ: 446～455
  • DOI: 10.1016/j.geomorph.2018.11.026
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] 新潟県十日町盆地東部段丘面上に見られる背斜状変形とその成因 (2019)
  • 著者名/発表者名: 白濱 吉起
  • 雑誌名: 活断層研究 巻: 51 ページ: 1-11
  • 査読あり
• [雑誌論文] 熊本県益城町堂園地区における2016年熊本地震の地表地震断層の詳細な分布と共役断層の活動履歴 (2019)
  • 著者名/発表者名: 岩佐佳哉・熊原康博・後藤秀昭・中田 高
  • 雑誌名: 活断層研究 巻: 52 ページ: 1-8
  • 査読あり
• [雑誌論文] Paleoearthquake History Along the Southern Segment of the Daliangshan Fault Zone in the Southeastern Tibetan Plateau (2019)
  • 著者名/発表者名: Sun Haoyue、He Honglin、Ikeda Yasutaka、Wei Zhanyu、Chen Changyun、Xu Yueren、Shi Feng、Bi Lisi、Shirahama Yoshiki、Okada Shinsuke、Echigo Tomoo
  • 雑誌名: Tectonics 巻: 38 ページ: 2208～2231
  • DOI: 10.1029/2018TC005009
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] An overview of the Muara Laboh geothermal system, Sumatra (2019)
  • 著者名/発表者名: Jim Stimac, Novi Ganefianto, Marino Baroek, Mauliate Sihotang, Irvan Ramadhan, Wildan Mussofan, Ridwan Sidik, Alfiady, Dayint A. Dyaksa, Herwin Azis, Alfianto P. Putra, Rudy Martikno, Robi Irsamukhti, Sonny Santana, Koji Matsuda, Hideki Hatanaka, Yoshio Soeda, Laurent Cariou, Patrick Egermann
  • 雑誌名: Geothermics 巻: 82 ページ: 150～167
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Role of geospatial information for disaster risk management as exemplified in recent large earthquakes in Japan (2019)
  • 著者名/発表者名: Une, H. and Nakano, T.
  • 雑誌名: Advances in Cartography and GIScience of the International Cartographic Association 巻: 121 ページ: 1-11
  • 査読あり
• [雑誌論文] 阪神・淡路大震災と活断層 (2019)
  • 著者名/発表者名: 宇根 寛
  • 雑誌名: 地図中心 巻: 559 ページ: 8-9
  • 査読あり
• [学会発表] Paleoseismic trenching on the subsidiary surface ruptures associated with the mainshock of the 2016 Kumamoto earthquake sequence (2020)
  • 著者名/発表者名: Ishimura, D., Takahashi, N., Tsutsumi, H., Kumahara, Y., Toda, S. and Ichihara, T.
  • 学会等名: Hokudan 2020 International Symposium on Active Faulting
• [学会発表] Active Fault Mapping and Late Holocene Activity of the Northern Sumatran Fault, Aceh Province, Indonesia (2020)
  • 著者名/発表者名: Yoshio Soeda, Hiroyuki Tsutsumi, Nobuhisa Matta, Nazli Ismail, Bukhari Ali,
  • 学会等名: HOKUDAN International Symposium on Active Faulting
• [学会発表] Surface ruptures in northwest of the outer rim of the Aso Caldera emerged during 2016 Kumamoto Earthquake detected by SAR interferometry (2020)
  • 著者名/発表者名: Une, H., Nakano, T., Fujiwara, S., Sato, P. H., and Yagi, H.
  • 学会等名: Hokudan 2020 International Symposium on Active Faulting
• [学会発表] Active faults mapping in Afghanistan using stereo images based on SRTM data (2019)
  • 著者名/発表者名: Shnizai, Z., Tsutsumi, H., and Nakata, T.
  • 学会等名: 16th Annual Meeting of Asia Oceania Geosciences Society
• [学会発表] 帯磁率を用いた活断層の変位把握の試み (2019)
  • 著者名/発表者名: 安江健一・廣内大助
  • 学会等名: 日本活断層学会2019年度秋季学術大会
• [学会発表] Stereopaired morphometric protection index red relief image maps (Stereo MPI-RRIMs): effective DEM visualization for interpreting and mapping tectonic geomorphic features (2019)
  • 著者名/発表者名: Kaneda, H. and T. Chiba
  • 学会等名: International Union for Quaternary Research Congress
• [学会発表] 熊本県西原村布田における布田川断層の2016年熊本地震（Mw7.0）時上下変位と活動性 (2019)
  • 著者名/発表者名: 石村大輔
  • 学会等名: 活断層研究
• [学会発表] 糸魚川-静岡構造線断層帯神城断層南部における活動履歴調査 (2019)
  • 著者名/発表者名: 水谷 光太郎・廣内 大助・松多 信尚・石山 達也・杉戸 信彦・安江 健一・竹下 欣宏・藤田 奈津子・澤 祥・道家 涼介・丸山 陽央・池田 一貴・変動地形調査グループ
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2019年大会
• [学会発表] 2019年山形県沖の地震で鶴岡駅前に発生した液状化現象（速報） (2019)
  • 著者名/発表者名: 澤祥
  • 学会等名: 日本地理学会2019年秋季学術大会
• [学会発表] 糸魚川-静岡構造線活断層系神城断層における高解像度極浅層 S 波反射法地震探査 (2019)
  • 著者名/発表者名: 池口直毅, 松多信尚, 楮原京子, 岡田真介, 廣内大助, 石山達也, 野田克也, 佐藤比呂志.
  • 学会等名: 物理探査学会
• [学会発表] 糸魚川―静岡構造線活断層系神城断層における高解像度極浅層S波反射法地震探査 (2019)
  • 著者名/発表者名: 池口直毅, 松多信尚, 楮原京子, 岡田真介, 廣内大助, 石山達也, 野田克也, 佐藤比呂志..
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2019年大会
• [学会発表] 静岡県菊川低地にみられる浜堤の形成過程と地殻変動との関連性. (2019)
  • 著者名/発表者名: 早田圭佑; 松多信尚; 廣内大助
  • 学会等名: 日本地理学会2019年春季学術大会
• [学会発表] 宇宙線生成核種を用いた活断層研究の紹介と今後の展望 (2019)
  • 著者名/発表者名: 白濱 吉起
  • 学会等名: 日本活断層学会2019年度秋季学術大会
• [学会発表] 青森湾西岸断層帯を横断する重力探査とその地下構造（その2：岩石密度測定値を使った地下構造の推定） (2019)
  • 著者名/発表者名: 岡田真介・小坂英輝・楮原京子・今泉俊文・阿部恒平・坂下 晋・三輪敦志・小鹿浩太・小田佑介・塚本勇樹・宮内崇裕・越後智雄
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2019年大会
• [学会発表] 山形盆地北部における変動地形と構造発達史 (2019)
  • 著者名/発表者名: 楮原京子・岡田真介・小坂英輝・三輪敦志・阿部恒平・松原由和越後智雄・今泉俊文
  • 学会等名: 日本地震学会2019秋季学術大会
• [学会発表] 阿蘇外輪山北西部の「お付き合い断層」の掘削調査結果と地形変位からみた活動履歴 (2019)
  • 著者名/発表者名: 宇根 寛・中埜貴元・佐藤 浩・八木浩司・小村慶太朗
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2019年大会
• [学会発表] 石見畳ヶ浦周辺の地形と生物遺骸群集に記録された 1872 年浜田地震と 1 回前の隆起 (2019)
  • 著者名/発表者名: 宍倉正展・前杢英明・越後智雄・行谷祐一・地庵栗加
  • 学会等名: 歴史地震研究会
• [学会発表] 北海道渡島半島中部、八雲断層帯とその周辺の活断層 (2019)
  • 著者名/発表者名: 田力正好・中田 高・堤 浩之・後藤秀昭・吾妻 崇
  • 学会等名: 日本活断層学会2019年秋季学術大会