研究課題/領域番号 |
16H01842
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
庄司 学 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60282836)
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研究分担者 |
吉見 雅行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (00358417)
川村 洋平 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (40361323)
永田 茂 鹿島建設株式会社(技術研究所), 都市防災・風環境グループ, 上席研究員 (50217999)
八木 勇治 筑波大学, 生命環境系, 教授 (50370713)
北原 格 筑波大学, 計算科学研究センター, 准教授 (70323277)
丸山 喜久 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (70397024)
先名 重樹 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 社会防災システム研究部門, 主幹研究員 (90500447)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ライフライン防災 / 強震動 / 液状化 / 被害推定 / システム開発 |
研究実績の概要 |
平成30年度においては,1番目の研究目的を達成するために,本研究を通じて蓄積してきた1995年兵庫県南部地震から2018年北海道胆振東部地震に至る被害ビックデータに基づいて,被害推定システムに組み込む指標の体系的な分析を行なった.上・下水道埋設管及び通信埋設管に対象を絞った上で,埋設管の属性を表わすネットワークデータと,ボーリング調査,土質試験,透水試験,表面波探査等による埋設地盤データをマッチングさせ,ネットワークデータを埋設地盤データの特徴量で類型化した.研究代表者の庄司と研究分担者の永田及び先名がこのパートを担当した.次に,2016年熊本地震を対象とした場合のネットワーク敷設下の工学的基盤へのサイト波を有限差分計算に基づき推計した上で,熊本県益城町エリア等を対象として,ネットワークの埋設地盤に対する有効応力解析の結果を前述の研究パートと連結し,指標の精度向上に関する検討を行なった.研究分担者の八木並びに吉見が震源過程並びに地下構造のモデル化の観点からこのパートを担当した. 併行して,2番目並びに3番目の研究目的を達成するために,被害推定システムのユーザーとなる事業者や自治体の観点から見たシステム要件を踏まえ,a. 想定されるハザード情報,b. ハザードに暴露されるネットワーク情報,及び,c. ネットワークの被害情報の3タイプの「ユーザー情報」のわかりやすさと魅せ方を併せ持つ被害推定システムの開発を試みた.特に,3番目の研究目的を達成するために,ライフラインネットワークに関わる事業者や自治体の中から茨城県や熊本県,仙台市等を候補として,システムの実装に関する検討を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度においては,交付申請書に記した研究実施計画を,研究代表者及び各研究分担者の役割分担のもと,ほぼ順調に実施することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終的な目的は,震源から放射される地震波が地下構造を伝播して工学的基盤に入射し,表層地盤を励振させ液状化を伴いネットワークの損傷に至る一連の力学的メカニズムを明らかにした上で,その時系列をAugmented reality等のコンピュータビジョン技術により反映させた新たな被害推定システムを開発することである.この目的を達成するために,最終年度となる本年度においては,大きく3つに分かれている研究パートの中の後者の2つのパートを特に強力に進め,研究成果をまとめていく予定である. 平成30年度においては,各研究パートの推進強化を主たる目的として,合計2回の大きな研究会を実施し,研究代表者と各研究分担間の研究進捗について情報共有・交換を密にはかった.また,2016年熊本地震及び2018年北海道胆振東部地震の被害現場に対する調査や関連事業者に対するヒアリング調査・意見交換会を合計4回実施し,後半の研究パートの進捗を加速化させた.本年度においても,研究会ベースの情報共有・交換を年あたり2回以上実施するとともに,2011年東北地方太平洋沖地震や熊本地震,北海道胆振東部地震の被害現場に対する調査を実施することで,実現象と研究成果を検証しながら,データの整備と分析を統合し,システム開発を完遂させる予定である.
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