研究課題
超高磁場MRIによる詳細イメージングを活用した免疫ダイナミズム可視化の研究を進展させた。中枢神経系の自己免疫疾患である多発性硬化症のモデル動物としてのEAEマウスを用いて、数種のMRI用造影剤を用いて、脳及び脊髄において詳細なイメージングを行った。病態の悪化・寛解に伴うマクロファージの関与や脳血液関門の破綻を区別して、時系列的に評価する事ができた。MRI撮像後には、実験動物を灌流固定し、組織学的に細胞浸潤や脳血液関門の破綻を評価し、MRIの結果と対比・比較し、造影剤を用いたMRIが組織学の結果を良く反映できていたことも確認できた。造影剤の活用と共に、従来の造影剤無しでの最適化した画像での評価も可能であり、放射線による消化管の炎症も造影剤無しに詳細に可視化でき、評価できた。また、臨床応用を目指した治療薬投与においても、炎症の広がりや回復過程を実験動物で詳細に評価できた。炎症に伴い、温度やpHも変動すると考えられるが、pHを求めるためには温度の情報が必須である。このため、実験動物で温度計測をできるようにし、この温度を使いpHを算出できるようにした。また、他の方法では観測が難しいと思われる、体内の分子レベルでの水の拡散も、免疫ダイナミズムを評価する上で活用可能と思われ、とりわけ、神経軸索変性や虚血時における評価方法として検討してきた。脊髄の神経軸索変性では既に活用したが、更なる活用・発展が期待できる。
2: おおむね順調に進展している
超高磁場MRIとともに特異的な造影剤の活用で、非常に興味深い成果が画像として出せている。画像から新たな生体現象が見いだせるようにもなって来た。過去には可視化・実現できていなかった先端的な静止画や動画もある。達成してきた技術は、様々な方面へ活用可能であり、発表に伴い、共同研究の申込や問い合わせも多くなっている。
順調に研究が進展しており、非常に興味深い結果がどんどんと出せている。超高磁場MRIの更なる高性能化と共に、徐々に対象を広げる予定である。特に、今までは別に考えられてきた、中枢神経系と免疫系のクロストークは重要であると考えており、この方面での研究を更に進展させたい。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件)
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