研究課題/領域番号 |
16H01849
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉岡 芳親 大阪大学, 先導的学際研究機構, 教授 (00174897)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 超高磁場MRI / 磁気共鳴イメージング / 免疫細胞 / 貪食細胞 / 磁性粒子 / ステルス性磁性粒子 / タイムラプスMRI / 免疫ダイナミズム |
研究実績の概要 |
超高磁場MRIによる非侵襲的詳細イメージングを発展させると共に、それらを用いた免疫ダイナミズム可視化の研究を進展させた。自己免疫疾患である多発性硬化症のモデルとなるEAEマウスにおいて、血管透過性、軸索変性に対するパラメータを詳細に検討した。アトピー性皮膚炎を対象とした研究では、磁気共鳴法の特長を生かしたスペクトロスコピーにより、グルコースが病態悪化の重要因子であることを突き止めた。不均一な炎症病態や経過が示される外傷性脳損傷では、機序解明・治療への道筋を描くことが難しかったが、モデルラットを用いる事で、皮質のみならず深部の視床までも炎症が生じていることを明らかにし、特に皮質視床路におけるマイクログリアの関与が重要であることを明らかとした。イメージングでは、診断のみならず、治療薬が如何に希望部位に到達できているかという診断と治療の同時評価(テラノスティクス)も重要である。今までは、RIを用いた方法で主に行われてきたが、私達は、虚血改善薬にMRI用造影剤を結合させることにより、MRIでのテラノスティクスを実現することができた。新たなMRIとして、体内物質間でのプロトンの移動量を可視化する技術を取り入れ、アミド蛋白やクレアチンを指標とした画像化を試みた。まず、がん組織や虚血組織に応用し、定量的に評価できることが分かった。本課題では、ヒトへの応用も視野に入れており、徐々にヒト用7T超高磁場MRI装置を用いた研究も取り入れた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超高磁場MRI技術の発展とともに特異的な造影剤の活用で、非常に興味深い画像やスペクトルが得られ、過去には可視化・実現できていなかった先端的な情報を次々に引き出せている。これら技術は、多面的な免疫ダイナミズムの可視化を可能とするものであるが、様々な方面へ活用可能であり、共同研究の問い合わせも多い。ヒトへの展開も視野に入れているが、ヒト用7T超高磁場MRIを用いた研究も始めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
超高磁場MRIにより詳細な可視化や新たな画像による評価など興味深い結果を順調に次々と出せているので、これを更に高性能化し推し進めると共に、徐々にヒトのデータの蓄積を進める予定である。中枢神経系と免疫系とのクロストークに係わる研究も更に進展させたい。
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