研究課題/領域番号 |
16H01856
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
椎名 毅 京都大学, 医学研究科, 教授 (40192603)
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研究分担者 |
山川 誠 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (60344876)
近藤 健悟 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (50649233)
浪田 健 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (10571250)
戸井 雅和 京都大学, 医学研究科, 教授 (10207516)
新田 尚隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (60392643)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 可視化 / 非侵襲生体計測 / 光音響イメージング / がん診断 / マルチモダリティ |
研究実績の概要 |
光音響イメージング技術は、生体内の光の散乱、センサによる測定点や視野角の制限、光の位相情報の欠落などが原因で、解像度、画質、定昇性の低下を招いて いる。そこで、光音響メーシンクの医療適用における、これらの問題を克服するため、超音波と光計測を統合した計測法、および光の位相情報を利用した計測系に基づく光音響イメージング法の開発と、実証実験による有効性の検証を行う。今年度は以下の項目について検討した。 1.光のスペックル制御による無欠陥画像の生成 リニア超音波プローブで撮像した光音響像では、照射光量が十分であれば、深さcmオーダの計測が可能であるが、通常の一様照明の場合、吸収体構造とセンサ視野角の制限により、光音響像の一部が欠損することがある。そこで、新たな照射法として多点のスペックルを変化させる照明を用いることで、深部での欠損の少ない形状情報を抽出する方法を検討した。シミュレーションおよび屈曲したワイヤのファントムを用いた実験により、提案手法により視認性が向上することが実証された。 2.超音波像を用いた光超音波像クラッタノイズの除去 臨床計測では、体表近くの照射光の散乱が強いと、断層面以外の吸収体からの光音響信号がプローブに受信され、断層像に重畳しクラッタノイズとして画像劣化の原因となる。このクラッタ除去として、超音波像との光超音波像との比較により実際の吸収体とクラッタを識別する方法と、光音響信号のスペクトルにより識別する方法を考案した。ファントムを用いて実験により、各手法で適用可能な条件が異なるがクラッタの識別やクラッタの抑圧が可能であることが検証され、その内容はレーザー学会等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
光のスペックル制御による無欠陥画像の生成に関しては、シミュレーション解析に加えて、実際に実験システムを構築してファントム計測により有効性を示すことができた。また、クラッタノイズの除去法についても、クラッタを発生するファントムを用いて実験し、クラッタ抑圧の有効性を実証した。これらを含め、前年までに得られたの成果は、5件の論文ならびに10件以上の国内外の会議、及び招待講演で発表しており、次年度以降に計画している臨床適用の検証に進む見通しを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで、当初の研究計画に沿って順調に進展しており、今後も研究計画に従って進める予定である。一方で、最終年度の課題に挙げている臨床応用に向けた実証実験に関しては、予算規模と実施体制を考慮して実施内容を調整する計画である。
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