研究実績の概要 |
本研究では、関谷らが世界に先駆けて開発した【ウルトラフレキシブル生体信号計測シート(Nature2013, Nature Mater.2010, Science2008, Nature Comm.2014)】を用いて、自律神経機能を定量的に無線計測できる“パッチ式センサシステム”を開発する。更年期障害に不安を抱える女性の“日常生活時、および睡眠時に装着感なく”「脳波」、「心電(心拍)」、「体動」、「発汗」を同時計測できる新しい家庭内医療診断に資するセンサ開発である。さらに、更年期障害関連の生体BIG DATAを解析する手法を情報処理科学の観点から開発することで、膨大に生まれる情報を“可視化”する。更年期症状の把握、疾病程度を包括的に計測、解析することで、更年期障害の定量的診断、早期発見、ホルモン療法などの早期治療への医療基盤を作り出す。特に更年期障害簡易スクリーニング法の開発、潜在的な更年期障害の検出方法を確立することを本研究の目的としている。
昨年度に開発してきたプロトタイプを、今年度は医師とともにハードウェア、ソフトウェアともに最適化する取り組みを進めてきた。より具体的には以下の取り組みを進め、成果を得た。計測用システム及びソフトウェアに関しては、医学部チームと連携し、病院にて使用を開始し、医学的有用性の検証を行い、医師より高い評価を得た。特に大阪大学産婦人科の澤田医師(婦人科)との連携を新たに開始し、この取り組みを加速した。ここでは、更年期症状に関連する脳波、心電、体動、発汗の統合的情報処理技術の開発、信号同期アルゴリズムの確立、更年期症状に関連するデータマイニング・モデリング手法の開発を進めた。今後さらに、自律神経に関する情報処理とアルゴリズム化、臨床に適したソフトウェアの開発と、可視化ソフトウェアのプロトタイプ試作、および最適化に取り掛かる準備を整えることができた。
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