研究課題
平成29年3月までに2650例の症例登録(心不全は85%、高齢心筋梗塞15%)が完了した。今年度は主に、データクリーニングの完了した心不全患者約1500例のベースラインデータ解析より、国内外の研究会議で報告を行った。また、研究モニタリングの一環として複数回の研究会議を行い、出席の難しい遠方の共同施設については直接の訪問により研究全体の進捗報告および現場での研究運営状況に関する確認などを行った。これらが、症例登録、アウトカム調査および郵送アンケート調査の円滑な実施につながっていると言える。また、当該分野の専門家からなる研究助言委員会を設立し、会議において研究実施状況を報告し、運営ならびに解析に関する助言を受けた。研究報告では、まず研究デザインと対象者特性を詳述したデザイン論文を作成し、現在国際誌での査読を受けている。具体的な解析結果については、第24回日本心臓リハビリテーション学会学術集会(国際セッション)、WCPT-AWP&ATPT Congress 2017において、暫定基準により定義したフレイルの関連因子を報告した。その後、世界最大の循環器系学術集会の一つであるAHA Scientific Session 2017では、フレイル関連因子の探索結果に基づき、病型毎の心不全フレイルの出現機序に関する仮説を提示した。本データについては国際誌への論文投稿を進めている。また、第21回日本心不全学会学術集会(シンポジウム、公募枠での採択)や第24回日本心臓リハビリテーション学会学術集会(シンポジウム)においても、サブ解析の結果を報告した。これまでは、国内外の代表的な研究会議において主に横断解析の結果を発信してきたが、ベースラインデータの構築とフォローアップデータの蓄積により、縦断解析が実施可能な段階となり、国内外の研究会議に抄録を提出し、次年度に複数の知見を報告できる予定である。
2: おおむね順調に進展している
平成30年3月までに心不全、高齢急性心筋梗塞の症例2650名の登録が完了し、次年度中に主解析を行うために必要なサンプルサイズに到達する目途がついた。また、計画立案当初より予定していたベースラインデータを用いた横断解析に関しても十分な検討がなされ、国際誌への投稿準備が整った。ベースラインデータ構築の進捗は良好であり、今後のフォローアップデータの蓄積により、縦断解析による知見を得られる体制が整った。以上、本研究は計画通り順調に進行している。
平成30年8月から9月まで症例登録を継続し、心不全、急性心筋梗塞を合わせて約3500例の登録が完了する予定である。データクリーニングの作業を加速し、早期のベースラインデータの構築を目指す。ベースラインデータの解析に引き続き、今後は縦断データに主眼をおいた解析を進めていく。退院後の郵送調査に加え、共同研究者との密な連携により、フォローアップデータの質向上に努める。これらの作業を計画通り円滑に進めるために、引き続き研究会議、研究モニタリングを継続する。今後は、研究会議での報告に加えて、国際誌への論文投稿により、研究成果を積極的に発信していく。現在、共同研究者より論文テーマの募集を行っており、研究デザイン立案時に計画した主要テーマの執筆に加えて、数多くのサブ解析結果の発信も期待される。これらの論文テーマの審査は、研究助言委員会が行い、論文の質向上と円滑な成果発信を担保する。
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すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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