研究課題/領域番号 |
16H01874
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
水野 敬 国立研究開発法人理化学研究所, 科学技術ハブ推進本部, チームリーダー (60464616)
|
研究分担者 |
渡辺 恭良 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (40144399)
上土井 貴子 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (90363522)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 疲労 / 意欲 / 認知機能 / 小児期 / 思春期 / 青年期 / MRI / 小児慢性疲労症候群 |
研究実績の概要 |
本研究では小中高生の思春期・青年期コホート研究により疲労児の発生に関わる危険因子を同定し、疲労児のみならず小児慢性疲労症候群等の疲労関連小児疾患患児に対して課す、自律神経・脳機能指標を基に生理学的メカニズムに立脚した易疲労性・疲労回復性の評価試験において抗疲労介入研究を行うことで有用な疲労克服法・治療法の創出を目指す。小学校高学年生と中学生における疲労増強に関係する短時間の主睡眠時間因子については、テレビ/ビデオなどの動画視聴、ゲームやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などの日常的な利用頻度といったメディア接触時間があげられることが明らかになった。アンケート調査研究における追跡研究の結果から、平日の睡眠時間が一年前の調査時より延長した地域では、疲労の愁訴を訴える児童生徒の割合が低下し、全体的に内発的動機付けによる学習意欲の向上作用がみられ、注意制御機能の向上にも寄与する傾向が得られた。本成果は、睡眠時間是正のための介入の重要性を示唆した。行動試験においては、摂食障害患者の治療前後における自律神経機能の改善効果がみられる症例は認められなかったが、サンプルサイズの影響も一因と考えられる。一方、小児慢性疲労症候群患者においては、注意制御を要する認知課題前後の自律神経機能活動指標の動態が治療後に改善した症例が認められた。今後さらに、追跡研究を実施することで継続的な治療による自律神経機能動態変化の特徴が明らかになると考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに順調に研究を進めることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
当初計画していた研究内容に基づき次年度も研究を進めていく。被験者および保護者の倫理的配慮にも注視しならが慎重に研究を実施し、疲労因子の同定と、その介入効果、治療効果成果を明らかにし、医療従事者、教育者ならびに広く国民に還元できる研究知見が得られるよう努める。
|