研究課題/領域番号 |
16H01877
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研究機関 | 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
田中 茂穂 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 栄養代謝研究部, 部長 (50251426)
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研究分担者 |
徳山 薫平 筑波大学, 体育系, 教授 (00207565)
柳内 秀勝 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 医療教育・臨床研究支援部門長 (20424666)
田中 千晶 桜美林大学, 総合科学系, 准教授 (40369616)
斉藤 昌之 北海道大学, 獣医学研究院, 名誉教授 (80036441)
吉村 英一 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (70613214)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エネルギー代謝 / エネルギーバランス / 肥満 / 身体活動 |
研究実績の概要 |
1.生活リズムに伴うエネルギー代謝・身体活動の変動の指標化 24時間のエネルギーの摂取と消費が釣り合った条件下で、成人女性を対象に検討し、男性と同様に朝食前の運動は24時間の脂肪酸化量を増大させるが、同じ運動を昼食後に行っても24時間の脂肪酸化量は変化しないことを確認した(PLoS One, 2017)。また、大学生31名を対象として、春から冬の期間に日常生活における身体活動量、睡眠、体重の評価を経時的に行ったところ、体重は春から秋にかけて有意に減少したが、冬にまた増加した。冬に体重増加が認められた者(+0.5 kg以上)について、大きい体重変動、BMIの初期値の高値、歩数と3.0 METs以上の活動時間の低下などの特徴が認められた。 2. NEAT の意図的な変化がエネルギー消費量や身体活動量・体重へ与える影響 NEATを増やす意識が総エネルギー消費量に与える影響について、若年男性を対象としてヒューマンカロリメーターを用いたクロスオーバー試験を継続して実施した。その結果、エネルギー消費量に有意差はみられなかった。また、入院中の2型糖尿病患者を対象に、①日常生活でのNEATを1週間行わせ、その後、1週間は運動しない群と、②前半に運動を行わず後半にNEATを行う群にランダムに分け、NEATの代謝パラメーター、身体活動、NEATスコアへの影響を検討している。 3.褐色脂肪組織活性に関するSNP 解析 褐色脂肪組織(BAT)活性の遺伝的要因を探るために、健常被験者186名の口腔粘膜サンプルから抽出したDNAを用いてゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、501,268個一塩基多型(SNP)についてFDG-PET/CTで評価したBAT活性との関係を調べたところ、AMPキナーゼのαサブユニットやカルシウムチャネルの一つなど、いくつかのSNPが関連する可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NEATの意図的な変化がエネルギー消費量や身体活動量・体重へ与える影響に関する2種類の検討については、29年度初めには測定を終了し、分析を進めている。また、入院中2型糖尿病患者に対するNEATによる介入を新たに開始している。褐色脂肪組織(BAT)活性の個人差にかかわる遺伝的要因を明らかにするためのGWAS解析は、予定通りに進んでいる。睡眠時のエネルギー代謝に関する検討においては、男性の被験者に続いて女性の被験者でも検討を行い、睡眠時エネルギー代謝の経時変化には男女差のあることが示唆される結果が得られている。また、「日常生活における身体活動とエネルギーバランスの経時的な変化の追跡」については、新たな研究分担者を加えて実施した。
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今後の研究の推進方策 |
入院中の2型糖尿病患者に対するNEATによる介入を継続・完了し、ヒューマンカロリメーターでの実験同様、分析を進めていく。遺伝的要因については、前年度の結果を踏まえて、関連する可能性のあるいくつかのSNPを確定するために、さらに多くの被験者をリクルートして、口腔粘膜サンプルから抽出したDNAの一塩基多型をGWASで調べる。睡眠時のエネルギー代謝に関しては、睡眠時の呼吸商の変化に男女差があり、女性の経時変化は男性よりも1~2時間早いことを示唆する結果を得たので、エネルギー代謝の性差について、更に検討を進めたい。日常生活における身体活動とエネルギーバランスの経時的な変化の追跡については、成人における減量支援を通じて、体重変動の要因に関する分析をさらに進めていく予定である。
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