研究課題/領域番号 |
16H01880
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
小西 行郎 同志社大学, 研究開発推進機構, 教授 (40135588)
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研究分担者 |
板倉 昭二 京都大学, 文学研究科, 教授 (50211735)
諸隈 誠一 九州大学, 大学病院, 研究員 (50380639)
松石 豊次郎 久留米大学, 付置研究所, 教授 (60157237)
松田 佳尚 同志社大学, 付置研究所, 准教授 (60342854)
八木田 和弘 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90324920)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム障害 / 生体機能リズム / ASD |
研究実績の概要 |
本研究も2年目を迎え、少しずつ成果が見え始めてきた。八木田はヒトにおける体内時計の形成メカニズムを細胞レベルから解き明かそうとしている。と同時にサーカディアンリズムの発達の中で中枢の体内時計と末梢の体内時計、例えば腎臓などのリズムなどの関係も明らかにしつつある。また臨床医からの情報をもとに長期間にわたる昼夜逆転の条件下でマウスに慢性炎症が起こることを証明し、そうした条件下の妊娠マウスから生まれた仔の長期間コホートを開始した。 松石は主にRett syndromeについて基礎研究としては遺伝子分析やモデル動物の行動観察を行っている。またヒトを対象にRett症候群の睡眠障害についての臨床研究なども行い、その症状の軽減を目的とした薬剤の開発に取り組んでいる。 諸隈はヒト胎児の行動観察を主に眼球運動を中心に行い、ウルトラディアンリズムの発生発達について調べ、生後のサーカディアンリズムへの影響なども調べた。その中で胎児期からノンレム睡眠の形成が乳児期にかけてのサーカディアンリズムの形成と密接に関係している可能性を見出した。 板倉は視線計測を中心に乳幼児期の社会性や「我々観」の発達について研究しているが、いずれ生まれてくる児のコホート研究に向けての検査項目などの作成のための準備もしている。 小西・松田らはおもに睡眠治療の現場で臨床研究を行っているが、その中で新生児期の睡眠障害が後の自閉症スペクトラム障害(ASD)と密接な関係をしていることを明らかにした。さらに新生児期のASDの初発症状の一つが知覚過敏であることも見出している。 1歳から5歳までの睡眠障害を伴うASDに対してメラトニン治療を実施し、メラトニンがASDの症状の改善をもたらすことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験はほぼ終了し、いよいよ本格的研究が始まり、それぞれ順調に成果を得つつある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は胎児期から乳幼児期までの睡眠障害とASDの関係を明らかにするのが目的である。と同時に、ASDに見られる様々な生体機能のリズムの異常を発見し、これらのリズム異常と睡眠リズムの障害の関係を明らかにすることでもあり、こうした臨床上での発見を動物実験で証明することになっているが、すでに八木田らは臨床で得られた知見をもとに動物コホートなどを行っており、今後とも各グループの連携について気配りしつつ研究を推進してゆきたい。
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