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2019 年度 実績報告書

イスラーム神秘主義の構造的理解-スーフィズム・タリーカ・聖者信仰複合現象の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H01904
研究機関京都大学

研究代表者

東長 靖  京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (70217462)

研究分担者 赤堀 雅幸  上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (20270530)
二宮 文子  青山学院大学, 文学部, 准教授 (40571550)
中西 竜也  京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (40636784)
丸山 大介  防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (60749026)
私市 正年  上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (80177807)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2021-03-31
キーワードイスラーム / 神秘主義 / タリーカ / 聖者 / スーフィズム
研究実績の概要

事業4年目にあたる本年度も、研究会・現地調査・国際発信・次世代育成を4本の柱として活動を行った。
研究会は、外部講師によるセネガルおよび中国における実例報告を中心としたものを2回(7月28日、9月25日)、聖者概念の確立のためのものを1回(7月7 日)、東欧と日本のイスラーム研究に関する比較を試みたものを1回(10月28日)実施した。さらに、3月に今年度の締めくくりとなる研究合宿を予定していたが、コロナ禍のために延期せざるをえなかった。
現地調査に関しては、マッチングファンドも活用しつつ2回実施した。ひとつは、イスラーム世界とキリスト教世界の聖者信仰のあり方を比較するための共同調査をフィリピンで7月に実施した。また、西アフリカのセネガルにおけるスーフィズム・タリーカ・聖者信仰の実態に関する共同調査を8月に実施した。
国際発信に関しては、10月にトルコにおける国際会議に参加したほか、2月17日にインドネシア国立イスラーム大学とのあいだでジョイントセミナーを実施し、東長がスーフィズム概念の精緻化に関する発表を行った。3月にフランス国立社会科学センター(CNRS)とのジョイントセミナーを予定していたが、これもコロナ禍のために来年度に延期することとした。
次世代育成に関しては、上述のセネガルに関する研究会(7月28日)において院生2名に発表の機会を与えたほか、2月のインドネシア国立イスラーム大学とのジョイントセミナーでも院生2名に発表の機会を与えた。本来は、3月の研究合宿およびCNRSとのジョイントセミナーにおいても、さらに院生数名に参加の機会を与える予定であったが、延期により果たせなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、これまでのスーフィズム概念の精緻化およびタリーカ概念の構築に引き続き、聖者概念の構築に力を入れた。研究会および現地調査において、実例研究を積み上げてきており、一定の成果を上げているが、タリーカ概念・聖者概念の構築に予定よりもやや手間取っている。
国際シンポジウムは、インドネシアで2月にかろうじて実施することができたが、フランスとの共催のものはコロナ感染拡大が問題となった3月であったため、延期せざるをえなかった。
スーフィズム・タリーカ・聖者信仰研究、イスラーム研究の次世代を育てる若手育成にも、これまで同様力を注いできたが、コロナ禍のために3月の貴重な機会が失われてしまったことは残念である。

今後の研究の推進方策

予定よりやや時間のかかっているタリーカ概念・聖者概念の構築に最大限の力を注入したい。同時に、スーフィズム概念の精緻化にもさらに一層尽力したいと考えている。
コロナ禍により、対面で直接刺激し合う研究会・研究合宿の機会が失われていることの学術的損失は、想像していた以上に大きい。オンライン研究会を活用していきたいが、これまでのように闊達に意見の交換は期待しにくい。また、研究会後のよりフランクな場での自由な討議の機会がなくなっていることは、大きなマイナスとなっている。研究手法として、この弊をいかに乗り越えていくかを模索することも、これからの研究者に求められる責務の一環であろうかと思う。

  • 研究成果

    (22件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (6件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 9件、 招待講演 5件)

  • [雑誌論文] Tension, Emotion, and Devotion: Master-Disciple Relationships and Consolidation of a Tariqa in Medieval India2020

    • 著者名/発表者名
      NINOMIYA Ayako
    • 雑誌名

      イスラーム世界研究

      巻: 13 ページ: 6, 13

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] スーフィズムにおけるイブン・アラビー2020

    • 著者名/発表者名
      澤井 真
    • 雑誌名

      歴史と地理 世界史の研究

      巻: 262 ページ: 49, 52

  • [雑誌論文] Divine Materiality of the Vanished sahaba: Religious Commodification of hujr b. ‘Adi al-Kindi in Syria2020

    • 著者名/発表者名
      YASUDA Shin
    • 雑誌名

      Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies

      巻: 13 ページ: 56, 68

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 19世紀雲南の中国ムスリム学者、馬徳新の聖者崇拝批判2019

    • 著者名/発表者名
      中西 竜也
    • 雑誌名

      東方学報-京都

      巻: 94 ページ: 398, 376

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 地域・時代のなかの巡礼経験/地域・時代を超える巡礼経験 ―リチャード・バートンの『アル=マディーナとマッカへの巡礼私記』を読む2019

    • 著者名/発表者名
      安田 慎
    • 雑誌名

      歴史家の調弦

      巻: 0 ページ: 198, 215

  • [雑誌論文] The Selfie in Islamic Pilgrimages as a Communication Tool in Hajj and Umrah2019

    • 著者名/発表者名
      YASUDA Shin
    • 雑誌名

      Spiritual and Religious Tourism (CABI Religious Tourism and Pilgrimage Series)

      巻: 0 ページ: 51, 58

  • [学会発表] Keynote Speech: Wisdom of Coexistence according to Sufism2020

    • 著者名/発表者名
      TONAGA Yasushi
    • 学会等名
      Wisdom of Coexistence in the Islamic Thought: Graduate Seminar on Sufism (Kyoto University-Syarif Hidayatullah State Islamic University Jakarta Joint Seminar)
    • 国際学会
  • [学会発表] How did Chinese Muslims harmonize Ibn ‘Arabi’s Ideas with Chinese Traditional Thoughts?2020

    • 著者名/発表者名
      Nakanishi Tatsuya
    • 学会等名
      Histoire du taoisme et des religions chinoises
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Chinese Muslims’ Discourses about the Sufi Saint2020

    • 著者名/発表者名
      Nakanishi Tatsuya
    • 学会等名
      Le culte des saints en Chine (islam et taoisme) : approches historique et anthropologique
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] The Zawiya as an Asylum in Premodern Maghreb-A Reconsideration of the Public Sphere within an Islamic Society2020

    • 著者名/発表者名
      私市 正年
    • 学会等名
      International Seminar on "Public Space, Public Sphere and Publicness in the Middle East" (IFAO)
  • [学会発表] Tasawwuf and modernity: On the relevance of Ibn ‘Arabi2020

    • 著者名/発表者名
      SAWAI Makoto
    • 学会等名
      Reading session: “Tasawwuf and modernity: On the relevance of Ibn ‘Arabi.”
    • 招待講演
  • [学会発表] Taking-off Shoes (Khal‘ al-Na‘layn): According to Abdullah Bosnevi2019

    • 著者名/発表者名
      TONAGA Yasushi
    • 学会等名
      The Sacred Patrimony of Sufism: Architecture, Objects and Symbols from the Maghreb to Asia
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Japanese Studies on Sufism2019

    • 著者名/発表者名
      TONAGA Yasushi
    • 学会等名
      Special Lecture
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] イスラーム聖者崇敬研究の目配り処と見通し2019

    • 著者名/発表者名
      赤堀 雅幸
    • 学会等名
      スーフィズム・聖者信仰研究会
  • [学会発表] A Chinese Muslim Scholar's Criticism against Saint Veneration2019

    • 著者名/発表者名
      Nakanishi Tatsuya
    • 学会等名
      All-Japan-Exeter Joint Workshop / Tobunken Symposium Knowledge as Power: Production, Control, and Manipulation of Knowledge in Muslim Societies
    • 国際学会
  • [学会発表] Sufi Studies in Gender Equality: Re-reading Ibn 'Arabi’s Anthropological Thought2019

    • 著者名/発表者名
      SAWAI Makoto
    • 学会等名
      The Annual Conference of the British Association for Islamic Studies
    • 国際学会
  • [学会発表] イブン・アラビー学派における完全人間論の展開2019

    • 著者名/発表者名
      澤井 真
    • 学会等名
      日本中東学会第35回年次大会
  • [学会発表] イスラーム神秘主義における人間の位置2019

    • 著者名/発表者名
      澤井 真
    • 学会等名
      印度学宗教学会第61回学術大会
  • [学会発表] ジーリーの存在の自己顕現論におけるムハンマドとアダム2019

    • 著者名/発表者名
      澤井 真
    • 学会等名
      日本宗教学会第78回学術大会
  • [学会発表] 井筒俊彦とイスラーム神秘主義2019

    • 著者名/発表者名
      澤井 真
    • 学会等名
      国際研究フォーラム井筒「東洋哲学」と宗教研究
    • 国際学会
  • [学会発表] Creating a Muslim Space in Postsecular Settings2019

    • 著者名/発表者名
      TAKAHASHI Kei
    • 学会等名
      Engaging the Contemporary 2019: The Philosophical Turn Towards Religion, Univesity of Malta, Valetta, Malta
    • 国際学会
  • [学会発表] アメリカにおけるスーフィー系コミュニティ運動の展開2019

    • 著者名/発表者名
      高橋 圭
    • 学会等名
      日本宗教学会第78回学術大会(帝京科学大学)

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公開日: 2021-12-27  

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