研究課題
研究成果は、理論的研究と歴史的研究に分けられる。理論的研究の成果として、以下の3点が挙げられる:1)フィクション理論における意図概念の検討:フィクションと意図との関係について、いわゆる仮説的意図主義をめぐる論争を詳細に考察した。意図概念の位置づけについては、主として文学研究・解釈理論のなかで議論がなされてきたが、そうした議論を参照しつつ、思想史研究において求められる意図の概念を検討した。2)対話ジャンルの概念に関する考察:このテーマの研究が最も盛んなのはフランス文学・思想の分野である。シェフェールによるジャンル理論を踏まえつつ、古典期対話テクストの継承、ジャンル規範の共有と逸脱といった問題について考察を深めた。3)フィクション概念と物語概念の接続:啓蒙は陰謀論のようなナラティヴに対抗するナラティヴとして登場し、そのための戦術としてフィクションが使用されたともとらえうる。両概念の関連について考察を進めた。歴史的研究の第一の成果、対話ジャンルに関連する。フォントネルの刷新した対話ジャンルが、ゴットシェートによる翻訳や理論的考察を経てドイツ語圏に紹介される経緯を詳細に検討した。(国際18世紀学会における報告)。もう一つの成果として、グロシンガー書簡に関する研究が挙げられる。従来の研究では状況証拠からのみフィクションと認定されてきたこれらの「書簡」が実際にはメーゼンの創作にほかならないことを明らかにすることができた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 7件)
宗教哲学研究
巻: 37 ページ: 131-134
京都ユダヤ思想
巻: 10 ページ: 111-122
フィヒテ研究
巻: 27 ページ: 9-22
超域文化科学紀要
巻: 24 ページ: 39-50