研究課題
基盤研究(A)
本共同研究の目的は、18世紀におけるフィクション使用の形態と機能を研究することであった。その成果は、a)理論的研究と、b)歴史的研究に分けることができる。a)理論的研究については、特に、1)フィクション理論における意図概念の検討(特に仮説的意図主義をめぐる研究)、2)対話ジャンルの概念に関する考察、3)フィクション概念と物語概念の接続の3点を挙げたい。b)歴史的研究の第一の成果は、18世紀における対話ジャンルの影響史的研究である。第二の成果として、『ベルリン月報』掲載のグロシンガー書簡に関する調査が挙げられる。
哲学・思想史
従来の啓蒙研究にしばしば見られた「啓蒙=理性の時代」という一面的な理解を克服し、フィクションの使用を手がかりに啓蒙という現象の多層性を示した点に本研究の学術的意義がある。また、この国際的にも新しい研究動向において、内外の研究者と緻密なネットワークを築いた意義も大きい。