研究課題/領域番号 |
16H01918
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
三船 温尚 富山大学, 芸術文化学部, 教授 (20181969)
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研究分担者 |
三宮 千佳 富山大学, 芸術文化学部, 講師 (10454125)
長柄 毅一 富山大学, 芸術文化学部, 教授 (60443420)
村田 聡 富山大学, 芸術文化学部, 教授 (70219921)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 青銅器3Dスキャン / 商代殷墟孝民屯遺跡出土青銅器鋳型 / X線透過撮影 / 金銅仏 / 青銅器 / 内部鋳造欠陥 / 湯流れシミュレーション |
研究実績の概要 |
日中台の合同調査を行い、商代殷墟孝民屯遺跡出土の青銅器と出土鋳型等の3D計測を用いた①鋳型製作技術、②注湯(熔けた青銅の鋳込み)技術、および③鋳型焼成技術、④紋様沈線・陽線、⑤青銅熔解炉壁などを調査した。3D計測器(Creaform inc.のVIU scan:点間距離200ミクロン以上)で鋳型等鋳造資料21点を3D計測した。これを基に、工業用湯流れシミュミレーションソフトによる、古代注湯技術解析が可能となり、鋳型製作技術以外の重要な未研究分野である注湯変遷解明への第1歩を踏み出せた。未解明の青銅器技術変遷研究のスタート地点となる商代青銅器技術研究が、最新科学技術を応用した国際的・学際的組織により解明までの道筋を作った調査となった。 泉屋博古館において金銅仏と青銅器・青銅鏡のX線透過撮影調査を行った。金銅仏等は6種類・18カット、鏡を含む青銅器は23種類・67カットの透過撮影を行った。金銅仏は中国北魏太和二十二年銘金銅弥勒仏立像、朝鮮半島新羅如来立像などの内部構造と鋳造時の鋳巣や引けなどの欠陥を探り、当時の鋳型製作技法と注湯方案を研究する資料を収集した。青銅器等は、中国商中期から西周前期の爵10種類、中国西周中期から戦国後期の鐘11種類、中国商後期の罍1種類、中国唐代海獣葡萄鏡1種類をX線透過撮影で、内部構造と鋳造時の鋳巣や引けなどの欠陥を探り、当時の鋳型製作技法と注湯方案を研究する資料を収集した。 湯流れシミュレーション実験のためのソフトとワークステーションを購入し、作動講習を受講し準備を進めた。飛鳥寺において飛鳥大仏の鋳造方法に関する調査、法華経寺において江戸大仏の鋳造技法調査、興福寺で仏像の鋳造技法調査などをおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの古代鋳造技法研究の遅れは、青銅器や鋳型の科学的で正確・精密な形状計測をおこなわなかったことが一因である。近年は点間距離が1000分の20㎜程度までの精密な計測が可能となり、そのデータを研究者間で共有して、確実な研究の積み上げが可能となってきた。その先駆的な手法を率先して実行し、最も直接的な研究資料である出土鋳型を、中国社会科学院考古研究所安陽工作隊、台湾中央研究院と共同調査をおこなった。3Dスキャンによる科学的な形状計測のデータを、鋳造技術経験者である本研究代表者が分析する点に、研究の進展が期待できる。 これまで古代技法の中の湯道方案(どの位置からどの角度で注湯したのか)は検討の方法が無かったが、青銅器の3Dスキャンデータを利用し、専用ソフトで様々な合金、湯道方案で注湯し、それぞれで発生する鋳造欠陥と、目視で確認できる青銅器表面の鋳造欠陥および、X線透過撮影で確認できる青銅器内部の鋳造欠陥を比較すれば、古代の鋳造法案の変遷が解明できる。そのために泉屋博古館で金銅仏や青銅器のX線透過撮影をおこなった。 基壇の改修工事に伴い解体され、2016年から2017年6月まで体内調査が可能になった1719年建立の千葉県法華経寺の鋳造大仏調査、展示館の修理に伴い東金堂に展示された飛鳥時代を代表する国宝山田寺仏頭の展示調査、大阪大学が実施した飛鳥大仏調査に参加して鋳造技法調査などをおこない、いずれも通常では不可能な観察調査が実行できた。 以上のように、3Dスキャンと湯流れシミュレーションの新規的研究手法を始動したことと、重要な調査により進捗状況を判断した。
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今後の研究の推進方策 |
3Dスキャンデータ、X線透過撮影データ、目視調査データにより、代表的な青銅製品や青銅器群の鋳造技法を解明する。そのなかに鋳造実験を交え検証する。解明する鋳造技法の具体は、中国殷周青銅器の原型製作方法、鋳型分割方法、沈線文様、スタンプ文様、鋳造湯道法案、切削研磨方法や、東アジア青銅鏡の円形鏡体鋳型製作方法、陽鋳文様、同形鏡、鋳造湯道法案、切削研磨方法、彫刻・金銅仏の原型製作方法、鋳型製作方法、鋳造湯道法案などである。これらをとおして、形状と文様の造形と技法の関連を研究する。東アジアの時代、地域の代表的な青銅製品を対象とし、通史研究を推進する。
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