研究課題
フィールド調査:研究代表者と連携研究者の大野仁美がボツワナでグイ語の調査を実施;海外共同研究者のPhiri氏がジンバブエでの東カラハリ・コエ語派の調査、Naumann氏がナミビアでター語の調査、Pratchett氏がボツワナでカラハリ・コエ諸語およびジュー語の調査を実施した。研究代表者と連携研究者がドイツに滞在し、滞在中にイェーナのマックスプランク人類史科学研究所で国際研究集会を開催した。各研究者の研究成果発表に加えて、平行コイサン語彙コーパス管理担当のWitzlackとLionnet両氏による、データ入力のワークショップを開いた。さらに、年度内のフィールド調査とコーパス共同編纂作業のスケジューリングについて合意した。さらに、本プロジェクトの成果の最初の刊行となる、国際アフリカ言語学学術誌Africana Linguisticaにおけるコイサン音韻論特集の寄稿・編集について最終的な決議をした。またドイツ滞在中にキールを訪問し、キール大学のWitzlack氏からコイサン音韻論資料のコーパス言語学的なデータ処理・分析法について助言を受けた。Africana Linguisticaのコイサン音韻論特集の編集は円滑に進み、全ての原稿の掲載が決定し、最終稿は編集文字校正中である。また、研究代表者と共同研究者Witzlack氏の共著によるCambridge Handbook of African Linguisticsのコイサン諸語の章が校了した(2018年夏刊行予定)。この章の音韻論の節は、本プロジェクトの成果の一部である。昨年度の調査で新規に組み入れた2つのトピック(幼児音韻論と構音障害音韻論)の考察が進み、具体的な研究成果が出始めた(日本言語学会の春季大会で幼児の音韻発達におけるクリックを扱った論考の発表、秋季大会でグイ語話者の器質性構音障害の考察の発表)。
2: おおむね順調に進展している
第3回国際研究集会の開催が成功し、その後の通コイサン語彙平行コーパスの編纂が予定通り進んでいる。第1段階のデータ入力を年度内に終了し、新年度の早い時期に資料のクリーンアップが見込める。昨年度の研究集会で日程調整をしたフィールドワークの実施も全て円滑に実施でき、目標どおりの資料収集が実現できた。また、プロジェクトの成果発表も順調に始まっている。全般的に見て順調に進展していると評価できる。
第1段階(主要サンプル言語データ入力)の終了したコイサン平行語彙データベースの資料クリーンアップ(記号一貫性整備と校正)を年度の早い時期に終えて、第2段階(統計的分析のための処理と第1次頻度解析)に入る。それと同時に、追加的サンプル言語の入力を開始する。第3回国際研究集会を開催し、平行語彙データベースの解析結果についての討議と、各研究者の個別的な研究トピックの成果発表を行う。また、コイサン平行テキストコーパスの編纂についての研修を行う。研究代表者および研究協力者は、モロッコで開催される世界アフリカ言語学者会議に出席し、本プロジェクトの研究成果の一部を発表する。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (29件) (うち国際共著 13件、 査読あり 26件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 7件、 招待講演 5件) 図書 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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