研究課題/領域番号 |
16H01925
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
中川 裕 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (70227750)
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研究分担者 |
佐野 洋 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (30282776)
望月 源 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70313707)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コイサン / Khoisan / 音韻類型論 / 音韻論 |
研究実績の概要 |
昨年度までに収集した資料の確認・敷衍のための追跡調査を研究代表者(中川)と研究協力者(大野仁美)がボツワナ共和国で実施した。それ以外のメンバーは最終追跡調査の準備のために資料整備を行った。 モロッコのラバトで開催された世界アフリカ言語学者会議(WOCAL9)でコイサン言語学セッションを企画し、中川(午前)と海外共同研究者のGueldemann(午後)が座長を務めた。また、プロジェクトから中川、大野、Job、Gueldemannが研究発表をして、本研究課題の成果の一部を報告した。また、同会議に連結して、本プロジェクトによる第4回国際研究集会を同一会場で開催した:内容は(i)Pratchettによる前年度の調査の報告、(ii)Witzlackによる全員参加型の語彙コーパスの資料整備実習、(iii)中川によるプロジェクト成果出版の提案と討議である。 研究集会での決定に従い、プロジェクト成員はオンライン共有している通コイサン語彙平行コーパスのデータ・クリーニングを進めた。現時点で18言語のデータセットが入力済み、その半数が実質的な資料整備を終了、残りも最終段階にある。整備済みのデータセットを用いて語彙内音素頻度分布の通言語比較を開始した。 プロジェクトの最初の成果発表が刊行物として実現した:国際学術誌Africana Linguisticaにおいて、中川とGueldemannの責任編集によるコイサン音韻類型論特集で、プロジェクトメンバー執筆の6本の論文が掲載された。また、中川とWitzlackによるコイサン諸語総説論文が、The Cambridge Handbook of African Linguisticsに掲載された。さらに、中川とChebanneの共同編集で、Anthony Traillの遺稿、A Trilingual !Xoon Dictionaryが刊行された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
通算4回目となる国際研究集会で実施した共同演習的ワークショップが効果的で、通コイサン語彙平行コーパスの編纂が順調に進んでいる。そのおかげで、重要な具体的成果をすでに刊行することができた。主要な海外研究協力者8人(5カ国)との研究連携も円滑に進み、国際共著論文・国際共同編纂辞書・国際共同発表も複数実現している。 さらに、追加的資料収集のために必要な、ボツワナ共和国における調査許可証の継続取得にも成功している。 全般的に見て順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに集約した全サンプル言語の音素目録の通言語的分類のための素性セットを完成し目録データベース作成を年度の早い時期に終える。一方で、通コイサン語彙平行コーパスの拡大利用を進め、音素や素性の語彙における分布に関する統計的調査を行う:統計的手法で検証する仮説については、すでにラバトでの国際研究集会で議論し設定済みで、仮説ごとに担当者を決定している。第5回国際研究集会を8月にライプチヒで開催し、目録ベースのコイサン音韻類型論的プロフィールについての研究成果報告と討議、語彙における音素・素性の分布の通コイサン比較の成果報告と討議を行う。さらに、通コイサン平行テキスト資料の集約を開始する。9月に中川、Witzlack、Gueldemann, Lionnetの4人は、国際言語類型論学会に出席し、このプロジェクトの成果の中間発表を行う(採択済み)。
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