研究課題/領域番号 |
16H01940
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永原 陽子 京都大学, 文学研究科, 教授 (90172551)
|
研究分担者 |
粟屋 利江 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (00201905)
Bhatte Pallavi 京都大学, 人間・環境学研究科, 特定講師 (30761366)
松田 素二 京都大学, 文学研究科, 教授 (50173852)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 植民地 / 植民地兵 / 第二次世界大戦 / 性的動員 / 労働動員 / 植民地間関係 / 帝国間関係 |
研究実績の概要 |
第2年度にあたる2017年度は、年度末の国際会議に焦点を定めて活動を行った。 7月8日の研究会では庵逧由香氏(立命館大学)に「朝鮮軍研究の現状と課題」についての報告を依頼し、当該分野の状況をメンバーが包括的に理解・共有し、国際比較の視座を得ることができた。 3月の会議での報告者は、国際公募方式で募集することとし、8月から公募を開始した。9月末の締め切り日までに集まった応募者の中から、地域・テーマのバランスなども考慮して、報告候補者を約30名に絞った。3月初めまでにフルペーパーが提出された。一方、9月中に研究代表者がイギリスに出張し、キーノートスピーチを依頼するD.Killingray氏と面談し、会議の内容について打ち合わせた。また、ジェンダー視点からのキーノートスピーチを依頼するY.Khan氏とも面談した(Khan氏はのちに参加不可能となり、C.Taraud氏にその役割を依頼したが、Khan氏との意見交換は国際会議の内容に資すこととなった)。また、夏から冬にかけて、各メンバーが、イギリス、インド、ポルトガル、南アフリカ、モザンビークなどに出張し、関連資料の収集を進めた。 3月22、23日に京都大学にて開催した国際会議 "International Conference on Colonial Mobilization during World War II: Soldiers, Labourers and Women"では、上述のKillingray氏、Taraud氏のほか、T.Negash氏、R.Ginio氏がキーノートスピーチを行うとともに、海外8か国からの公募報告者と科研メンバーを含む計20名が報告を行った。第二次世界大戦期のヨーロッパ=アフリカ間の植民地体制と、東アジアの植民地体制を同時代的・横断的にとらえて大戦を再考するという目的が十分に果たされ、世界諸地域からの参加者たちからその意義が高く評価された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」で述べたとおり、当初の計画通り、年度末に国際会議を開催し、大きな成功を収めることができた。この会議に向けて、各メンバーがスピーチ予定者との事前の面談・打ち合わせや、資料収集を体系的に進めたため、会議の内容を有機的に構成することができた。 会議を通じて形成された国際的なネットワークは、第3年度以降の研究に有効に活かされることになり、すでにその成果を踏まえた2018年度の海外での共同調査計画や研究者の招聘計画が進んでいる。 また、会議の成果をまとめ、英文書籍として出版する計画が進み、第3年度以降にそのための活動を進める準備が順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
第3年度には国際会議の成果に基づく出版の計画を進めるために、各自の海外調査時間を充分確保するとともに、論文内容の検討のための研究会をもつことで、内容面での準備を促進する。また英文論文作成についての技術的なサポートも本科研費により積極的に実施する。 本研究の海外協力者であるT.Negash氏との連携をいっそう強め、その助言を得つつ出版の早期実現を図る。発表した成果に対する研究者コミュニティからの反応を得て本研究の最終的な成果が、より国際的な意義の大きいものになるよう、最終年度に向けて各自の分担分野を拡大・調整していく。
|