研究課題/領域番号 |
16H01957
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小畑 弘己 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (80274679)
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研究分担者 |
小林 啓 九州歴史資料館, 学芸調査室, 研究員(移行) (20638457)
中沢 道彦 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (40626032)
櫛原 功一 帝京大学, 付置研究所, 講師 (50642526)
佐々木 由香 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (70642057)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 縄文時代 / 土器圧痕 / 栽培植物 / 家屋害虫 / 大陸系穀物 / X線機器 / 多量種実混入土器 / 定住生活 |
研究成果の概要 |
本研究は、土器中のタネやムシの痕跡をX線機器で探し出し、縄文人の栽培植物に対する想いやイネなどの大陸系穀物がいつ縄文人に受容されたのかを検証する研究である。その結果、北海道の遺跡において多量のコクゾウムシを混入した土器を発見し、東日本ではマメ類とともにクリが栽培され、害虫とともに北海道へ伝播したこと、そして、西日本と東日本の主利用堅果類の違いや防虫剤の存在を明らかにできた。定住化とともに、ダイズ・アズキやクリなどが栽培・貯蔵され、そこに食料害虫が発生し、食料の運搬とともに日本中へ拡散した。弥生時代以降と考えられていた植物栽培とその豊穣を祈る感性がすでに縄文時代に存在していたことを明らかにした。
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自由記述の分野 |
考古学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
縄文時代はこれまで狩猟・採集の時代と考えられてきた。しかし、2007年に縄文土器の圧痕としてダイズが発見されて以来、縄文人が有用植物を栽培していたことが明らかになった。この土器圧痕はまさに縄文人が作り出した人為化石である。本研究はX線機器を用いて土器中の圧痕をすべて検出するという研究手法の精確性や高効果性から、多量のタネやムシを入れた土器の発見につながった。これまで、主に年代指標として使われていた土器を、新たな生活史・思想史復元の資料源とみなし、縄文人たちの生活や栽培植物に対する想いを掘りだすこの研究は、私たちがステレオタイプ的に考えている歴史観を覆す可能性を秘めている。
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