研究課題/領域番号 |
16H01965
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
矢野 桂司 立命館大学, 文学部, 教授 (30210305)
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研究分担者 |
中谷 友樹 立命館大学, 文学部, 教授 (20298722)
加藤 政洋 立命館大学, 文学部, 教授 (30330484)
河角 直美 (赤石直美) 立命館大学, 文学部, 准教授 (40449525)
桐村 喬 皇學館大学, 文学部, 助教 (70584077)
塚本 章宏 徳島大学, 大学院総合科学研究部, 准教授 (90608712)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歴史地理学 / 歴史GIS / デジタル・ヒューマニティーズ |
研究実績の概要 |
本年度は、以下の4つの課題を実施し、国内外の歴史GISやデジタル・ヒューマニティーズの最新の動向調査した。 1、歴史都市京都の地理空間情報のデジタル化・GIS化:これまで蓄積された地理空間情報(地図、統計など)の整理、GIS化(ベクタ化など)を行った。さらに、古写真や絵画など新たな地理空間情報のGIS化を実施した。また、これまで蓄積してきた地理空間情報に関しても、その長所・短所を整理して、適切な史料批判を実施し、2~4の研究テーマへの接続を行った。 2、歴史都市京都の地理空間情報の空間分析手法の開発:歴史GISの研究においては、境域の経年変化のデータ管理、デジタル化した古地図の歪みの計測、経年変化する地名や通り名のアドレスマッチング、など、地理空間情報に含まれる時間次元を巡る様々な課題がある。そのような歴史GIS固有の分析手法課題の整理を行った。 3、歴史都市京都の地理空間情報の共有化手法の開発:Harvard大学CGAが開発したデジタル地図のポータルサイトのHHypermapやWebGIS上でのジオレファレンス・システムを試験的に構築した。また、すでに公開されている、近世・近代京都の地理空間情報を調査し、歴史都市京都の「歴史GISポータルサイト(仮称)」を設計した。 4、歴史都市京都の地理空間情報のDH共同研究の推進:これまでに構築し、公開してきた歴史都市京都のGISデータを整理するとともに、未整理のものも含めて、それらを用いたDH研究の可能性を、ARCの共同利用・共同研究拠点とも連携しながら展開した。特に、洛中洛外図屏風、京都観光研究、歴史災害研究、近代京都の発達史、京都を舞台とする文学研究など、京都の歴史GISデータベースを活用した、デジタル・ヒューマニティーズ研究を展開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、4つの課題ごとに整理を行い、試験的にいくつかの具体的作業を実施した。 ①歴史都市京都の地理空間情報のデジタル化・GIS化:研究代表者が前期に学外研究で、英国ロンドンと米国ボストンに滞在中に、大英図書館、米国UCBのCVスター図書館、ハーバード大学図書館に所蔵される日本の古地図を調査し、そのデジタル化、GIS化の検討を行った。来年度にはそれらの具体化を進めることを検討する。 ②歴史都市京都の地理空間情報の空間分析手法の開発:京都の地名辞書の構築に向けて、京都の通り名のデータベースを構築し始めた。今後は、これらのアドレスマッチングシステムと合わせて、京都の地名辞書のベースを構築する。 ③歴史都市京都の地理空間情報の共有化手法の開発:Harvard大学CGAが開発したデジタル地図のポータルサイトのHHypermapやWebGIS上でのジオレファレンス・システムをレンタルサーバー上に試験的に構築した。HHypermapの改良のスピードが速いため、CGAのスタッフの助言をもらう必要がある。 ④歴史都市京都の地理空間情報のDH共同研究の推進:京都市の市電のなどの写真データベースを構築し、近代京都の景観復原を実施ている。これらには古写真とGISを絡ませたデータベースを構築している。また、近世に関しては、洛中洛外図屏風の比較システムを試験的に作成しているが、これを用いたDH研究をさらに展開する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の4つの課題ごとの今後の推進方法は以下のようである。 ①歴史都市京都の地理空間情報のデジタル化・GIS化:共同利用・共同研究拠点である立命館大学アート・リサーチセンターと連携して、国内外の日本の古地図のデジタル化・GIS化を推進する。とりわけ、大英図書館の約400のコレクションのデジタル化に取り掛かりたい。 ②歴史都市京都の地理空間情報の空間分析手法の開発:京都の地名辞書の構築システムを考案する。その場合、京都の地名に特化した、「じおどす」などとの連携を模索する。 ③歴史都市京都の地理空間情報の共有化手法の開発:デジタル地図のポータルサイトのHHypermapやWebGIS上でのジオレファレンス・システムの運営をスタートさせる。また、既存のOldMapsOnlineとの連携も追及する。 ④歴史都市京都の地理空間情報のDH共同研究の推進:歴史都市京都のGISデータを補強するとともに、過去の古写真や絵画資料を地図と連携させてのDH研究を推進する。また、海外におけるDH研究とGIS研究の動向にも注意を払いたい。
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