研究課題/領域番号 |
16H02004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高原 明生 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 教授 (80240993)
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研究分担者 |
小嶋 華津子 慶應義塾大学, 法学部(三田), 准教授 (00344854)
園田 茂人 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (10206683)
板垣 博 武蔵大学, 経済学部, 教授 (20125884)
加茂 具樹 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 客員教授 (30365499)
丸川 知雄 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (40334263)
松田 康博 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50511482)
藤原 帰一 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (90173484)
川島 真 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90301861)
小原 雅博 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (70370103)
平野 温郎 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (10719264)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 政治学 / 現代中国研究 / 地域研究 / 政策過程 / 国際関係論 |
研究実績の概要 |
2017年度には国際ワークショップを2回開催した。第一回は2017年10月、ハノイのベトナム外交学院にて国際環境と安全保障を主なテーマとして行った。報告者は、松田康博東京大学教授、Hwang Jaeho韓国外国語大学校教授、林泉忠中央研究院副研究員、Evi Fitrianiインドネシア大学教授、Lam Peng Erシンガポール国立大学東アジア研究所教授、Aileen Bavieraフィリピン大学教授、そしてThanh Hai Doベトナム外交学院准教授であった。 第二回は2018年2月、インドネシアのデンパサールにて経済を主なテーマとして行った。御母上の病気のため、台湾の林泉忠中央研究院副研究員が欠席したが、翌日のセミナーの会場となるウダヤナ大学のアグン・スリャ・ヌグラハ(Agung Surya Nugraha)講師に出席してもらった。報告者は、丸川知雄東京大学教授、Hwang Jaeho韓国外国語大学校教授、Aileen Bavieraフィリピン大学教授、Lam Peng Erシンガポール国立大学東アジア研究所教授、Thanh Hai Doベトナム外交学院准教授、そしてEvi Fitrianiインドネシア大学教授であった。 これらに加えて、夏学期の段階でまず全体会合を開催した。すなわち、2017年7月、ゲストとして、Emotional Diplomacyという著書のある、Todd Hall氏(オックスフォード大学)を講師に招き、二国間関係における感情やアイデンティティの問題について報告してもらう研究会を開催した。次に、デンパサールでのワークショップの翌日、ウダヤナ大学にて、同大学の学生およそ100名を相手に“Contemporary East Asian Geoeconomics and Geopolitics”と題するセミナーを実施した。第一セッションではEvi Fitriani教授がモデレーターを務め、東南アジアからの視点としてThanh Hai Do准教授とLam Peng Er教授が報告した。続く第二セッションではAileen Baviera教授がモデレーターになり、東北アジアからの視点として高原とHwang Jaeho教授が報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトのポイントは転換期を迎えた日中関係の動因を分析し、他国と中国との関係の動因と比較することにある。2017年度は、初年度においてがっちりと築かれた、4年間のプロジェクトを進めるうえでの基礎となる海外連携研究者との絆を基に、ワークショップを重ねることにより、本プロジェクトにおける共通の分析枠組みとなる4要因モデルについての理解を深めることができた。 2017年度、カギとなった国際ワークショップは国際環境と安全保障、そして経済を主要テーマとしていたが、その他にも、国民の感情や認識、アイデンティティを話題にしたトッド・ホール氏の報告を聞き、議論することができたのは収穫であった。また、初めての試みとして東南アジアの学生たちとのセミナーを開催したが、対中関係に関するインドネシア人学生たちの生の声を聴くことができたのも、一同の理解を深める上で大変有益であった。 ただ、4要因モデルそのものをどう精緻化していくかという課題は、依然として存在している。四つの班を合わせた全体会合においても、また国際ワークショップにおいても、常に問われるのは、二国間関係とは何か、それぞれの領域における対中二国間関係をどのようにとらえるのか、そこに働く要因を如何に分析するのか、といった基本的な問題にほかならない。それらについては、個別の領域における研究をそれぞれの班が進める中で、知見と洞察を深めた上で、討論を重ねていくほかはない。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度および2017年度、合わせて3回の国際ワークショップの成功の基礎の上に、第3年度はやはり2回の国際ワークショップを開催することに焦点を置く。 本年度第一回のワークショップは、フィリピン大学のセブ校に於いて2018年8月下旬に開催する予定である。すでに、海外連携研究者である、フィリピン大学のアイリーン・バヴィエラ教授と繁く連絡を取り、準備を進めている。 テーマは、国内政治要因とする計画である。これは前年のハノイでのワークショップで取り上げる予定であったのだが、その後、共産党一党支配体制の下にあるベトナムで国内政治要因を議論することの困難が指摘された。特に、ベトナムにおいては反政府勢力と反中国勢力が同調する傾向がみられることから、国内政治と対中関係の相互作用の解明は非常に重要ではあるのだが、ベトナム外交学院のワークショップの主題としては敏感に過ぎると判断され、見送られた経緯がある。 本年度第二回のワークショップは、韓国の済州島、あるいは台湾の高雄で2019年2月上旬頃を目途に開催する予定である。海外連携研究者である韓国外国語大学のホワン・ジェホ教授、中央研究院の林泉忠副研究員、そしてシンガポール国立大学のラム・ペン・アル上級研究員とも、自国での開催に積極的である。だが本年の予算を考えれば、日本から距離があり宿泊代が高いシンガポールでの開催は難しいものと思われる。第二回ワークショップのテーマは国民感情、その認識、そしてアイデンティティである。その議論のためにいくつかの国で実地調査を実施する予定であり、園田班長を中心に準備を進めているところである。 政治と世論のみならず、経済と国際環境を含む四要因の間の関係が研究の対象であることから、たとえ主要テーマからははずれていたとしても、各班それぞれがこの2回のワークショップに向けて研究を深めることが本年度の課題となる。
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