研究課題/領域番号 |
16H02022
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中室 牧子 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 准教授 (20598403)
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研究分担者 |
藤澤 啓子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (00453530)
乾 友彦 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (10328669)
澤田 康幸 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (40322078)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 学級規模 / 相対年齢効果 / 競争心 / リスク態度 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、関東の自治体から提供された1064校の小学校4年から中学校3年までの3年間のパネルデータを用いた下記の3つの分析を主に進め、国内外の学会・シンポジウムで発表したほか、一部は国際学術誌に投稿した。 (1)学級規模が学力や非認知能力に与える影響:本研究では、学級規模が41人を越えると半分に分割するという外生的な変動を用いて、学級規模が学力や非認知能力に与える影響を推定した。学級規模の縮小は小さいものの学力を上昇させる効果があり、特に通塾していない生徒への異質な効果があった。非認知能力への影響は観察されなかった。この研究の結果は国際的な学術誌に投稿しRevision and Resubmitとなっている。 (2)相対年齢が学力や非認知能力に与える影響:学級規模や相対年齢が小中学生の認知能力や非認知能力に与える影響について検証を行った。学校規模や相対年齢が認知能力に与える影響についての研究は少なくないが、非認知能力に与える影響についての研究は未だ少なく、その点が新しい知見と考えられる。また本研究における文献研究の一部は、アウトリーチの一環として東洋経済オンラインでも公表したほか、Eastern Economic Association (New York, March 2019) の年次大会など複数の国際コンファレンスで発表した。 (3)競争心やリスク態度が数学の学力テストの結果に与える影響:自治体と協力して、公立6中学校で約1000人を対象に、競争心やリスク態度を計測する経済実験を実施し、中学生の数学の学力への影響を推定した。日本経済学会、慶應義塾大学応用ミクロ計量経済学ワークショップなどで発表したほか、経済産業研究所(RIETI)のディスカッションペーパーとして公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、関東の自治体から提供されたデータの分析は順調に進んだ。ただし、東日本大震災の被災地である福島県下の自治体での追跡調査の計画はうまく進展せず、データ取得の可能性については当初計画とは別の方法で進めている。また、ICTを用いた教育の効果は、国内での実験では結果が出なかったものの、企業・JICA等の協力により、カンボジアでの大規模なクラスターランダム化比較試験に成功し、こちらも現在分析を進めている。Eastern Economic Association (New York, March 2019) の年次大会で報告したほか、2019年度には経済産業研究所(RIETI)のディスカッションペーパーとして公表するほか、2019年度に予定されている国際学会でも発表する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き関東の自治体から提供されたデータの分析を進める。また、東日本大震災の被災地である福島県下の自治体でのデータ収集の可能性を探る。カンボジアでの大規模なクラスターランダム化比較試験の結果を分析し、国内外の学会・シンポジウムでも発表する。
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