研究課題/領域番号 |
16H02022
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中室 牧子 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (20598403)
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研究分担者 |
藤澤 啓子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (00453530)
乾 友彦 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (10328669)
澤田 康幸 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (40322078)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 幼児教育の質 |
研究実績の概要 |
関東近郊の自治体と共同で、自治体内の全幼稚園、保育所を対象に、5歳児の就学前教育の質と就学後の成果に関する研究を実施した。本研究では、国際的に広く用いられる「保育佳境評価スケール」(Harms, et al, 2003; 埋橋訳, 2009)を用いる。これは発達心理学の認知理論や愛着理論をベースに作成された評価指標である。専門のトレーニングを受けたアセッサーを各保育所に派遣し、約3時間半の観察を行い、約600の項目にそれぞれ1~7で評点をつける。これを最終的には、3~5歳の幼児の場合は32の指標に集計した。加えて、就学前の子供の発達を計測するため「乳幼児発達スケール」(大村他、1989)を用いて、調査対象の児童の発達状況を評価する、また、対象となる児童の保護者とその担当保育士に対する質問紙調査も実施する。また、調査対象の児童に対しては、小学校入学後も追跡調査を実施する。つまり、自治体内の幼稚園・保育所で、悉皆的に、保育の質、児童の発達、児童の保護者と担任保育士の状況について丹念にデータを取得し、同一児童を複数年にわたって追跡を行う。対象園は2つのグループにわけ、研究者が「保育佳境評価スケール」に基づいて、コンサルティングとフィードバックを行うグループと行わないグループに分けて、(1)質が変化するかどうか、(2)質が変化したとするとそれが就学後の教育成果に現れるのか、という2つを検証するためのデータを収集した。これ以外にも幼稚園・保育所・小学校の教員を対象とした調査も実施した。加えて、NPO法人と共同で、経済困窮世帯のお度もたちに対する調査を実施し、コロナ禍で対面での福祉的支援が難しくなったことを受け、オンラインによる伴走支援の効果をランダム化比較試験を用いて実証する研究を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの流行により、対面で実施していた福祉的な支援が中止となり、様々な調査活動が中止となった。その代わりにオンラインによる支援の効果検証を開始することとなった。また、事業者都合でデータの入力が終了したなかったものがある。加えて、個人情報保護条例の改正により、調査対象者の個人情報の取り扱いが変わったことによって、収集したデータの一部の入力が終了しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、条例改正が終了したことに伴い、匿名加工データの取り扱いについて新たに研究契約を締結し、速やかにデータを収集する体制を整える。緊急事態宣言後には自治体と共同でデータ入力とクリーニングを開始する予定。
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