研究課題/領域番号 |
16H02032
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
伊藤 宗彦 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (90362798)
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研究分担者 |
遠藤 貴宏 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (20649321)
上東 貴志 神戸大学, 計算社会科学研究センター, 教授 (30324908)
西谷 公孝 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (30549746)
榎本 正博 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (70313921)
濱口 伸明 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70379460)
高槻 泰郎 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (70583798)
喜田 昌樹 大阪学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40278552)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コーポレートガバナンス / 日本的経営 / 生産性 / 多角化 / 株主総会 / テキストマイニング / データマイニング / データベース化 |
研究実績の概要 |
本研究では、日本型経営を生み出したガバナンスの構造を明らかにする目的で推進している。さらに、日本企業が持つ制度的な欠点はどこから生まれ、経営戦略はどのように意思決定されるのかなど、企業内部に入り込まなければわからない点を明らかにすることが本研究の目的である。また、同時期のアメリカで行われた科学的管理法に対して、日本型経営はどのように特徴つけることができるのかを明らかにしている。これらの研究の意義は、日本、及び世界の経営環境を鑑みて明確であり、本研究が学術的に見て推進すべき重要な課題であることは明白である。本研究は、日本企業の成長プロセス、コーポレート・ガバナンス、日本型経営の形成といった今まで分析されてこなかった変数を、企業における最高意思決定者の社長が発する稟議書を長期に渡って、現在のIT技術を駆使して分析するという、革新性の高い試みを行っている。そのなかで、今期は、当初の計画案の通り、企業の内部資料のデータベース化を行った。データベースは本研究の調査対象である鐘紡の内部資料のデジタル化、テキスト化(デーータの場合、エクセル化)が骨子となる。以下のデータベースを完成、データベース化した。 ①企業の決済資料である回章類のデジタル化を完了した(1886‐1990年の114年間、36000ページ)②その間開かれた株主総会450回の議事録のデジタル化、テキスト化を完了した。③その間の売り上げ、新製品、海外展開のデータを含む営業報告書のデジタル化、テキスト化を完了した。④工場の生産性を示す生産データ、給与計算、人員構成など、全てエクセル化した、A2エクセル表1900ページ分。 上記のデータは、キーワード、年代、社長名などで検索、データ化ができるデータベースソフトを構築し、そこに収録した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、1年目は分析を行うインフラを整えるために必要なハードウエア、ソフトウエアを準備した。具体的には、データベースソフトウエア、手書き資料も扱えるOCRソフト、テキストマイニング、データマイニングを行うことができる環境であり、予定通り整えることができた、本年度はデータベースの構築であり、実績にも述べたように、①企業の決済資料である回章類のデジタル化を完了した(1886‐1990年の114年間、36000ページ)②その間開かれた株主総会450回の議事録のデジタル化、テキスト化を完了した。③その間の売り上げ、新製品、海外展開のデータを含む営業報告書のデジタル化、テキスト化を完了した。④工場の生産性を示す生産データ、給与計算、人員構成など、全てエクセル化した、A2エクセル表1900ページ分。を全て完了し、データベース化し膨大なデータベースの構築を完遂できた。計画通りである。、
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最大のハードルであった、企業の114年にも及ぶ内部データのテキスト化を完了した。本研究プロジェクトの後半では、その分析に入る。テキストマイニング、データマイニング技術を駆使し、分析を行うが、多くの課題克服の必要性がある、まず、これほどの分量のテキストマイニングは行われておらず、システム情報学など理系の知識が必要になる可能性があるため、文理融合で取り組む予定である。 構築したデータベースには、既存研究にはない重要な特徴が2点ある。まず、分析するデータが企業の内部資料であるという点である。これは経営者が意思決定した事案を担当部門に連絡した資料であり、海外では、チャンドラー等の研究はあるが、日本国内では事例が見当たらない。2点目の特徴は、資料が116年にもわたり、継続している点である。その間、11名の社長が就任しており、組織、企業風土など、どのようそれぞれの資料の蓄積数も3万点と分析には十分な分量である。上記のような特徴がある資料の分析の方法論には、多くの選択肢がある。たとえば、アメリカ企業での分析成果を有するマッキンゼーの7Sのフレームワークを用い、分析を進めることができる。マッキンゼーの7Sは組織マネジメントを考える際などに用いられるフレームワークである。このフレームを選択したのは、経営を7つの要素に分けてその関係性を分析する際、回章の内容を、一つ一つの内容を表すインデックスの項目と一致させることにより、アメリカ企業との比較研究を行える可能性があるためである。本研究では、さらに、鐘紡に特有のコーポレート・ガバナンスを分析することを目的としたプロセス論的アプローチ(M1)と、事業戦略と組織構造の関係を明らかにする分析論的アプローチ(M2)の2つの方法で分析を行い、最終的に企業はどのように成長するのかという点について、結論を出すことを目指している。
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