研究課題/領域番号 |
16H02081
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山本 洋平 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40589834)
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研究分担者 |
鍋島 達弥 筑波大学, 数理物質系, 教授 (80198374)
神原 貴樹 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90204809)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 光共振器 / レーザー / 共役ポリマー / 発光性有機分子 / 発光性錯体 |
研究実績の概要 |
本年度は新たな発光性マイクロ球体の作製と光共振器特性の発現およびセンシングに関する研究を進行した。新たな発光性マイクロ球体として、π共役ブロック共重合体からなる球体を作製し、その光閉じ込め挙動と共振器特性について評価した(ACS Appl. Polym. Mater. 2019)。発光性デンドリマーからの球体形成のメカニズムについて考察した(Chem. Lett. 2019)。また、国際共同研究として、有機無機ペロブスカイト単結晶を用いた欠陥準位からの発光(J. Mater. Chem. C 2019)や、酸素還元触媒に関する研究(ACS Appl. Energy Mater. 2019)も展開した。 これらに加え、新しい発光性有機分子・高分子・金属錯体の合成に関する研究も推進した。安定性と触媒活性を兼ね備えたPd(0)錯体の開発、Pd/Cu二元系触媒による共役高分子の短工程合成、脱水素型クロスカップリング反応機構の解析により、脱水素型クロスカップリング反応を用いる高分子半導体の合成を行った(Polym. Chem. 2019, ACS Appl. Polym. Mater. 2019, Synth. Metals 2019など)。また、13属金属イオンを用いたジピリン錯体や、2重に連結したマクロサイクルの合成を行い、それらの発光挙動やイオン認識挙動について明らかにした(JACS 2019, Dalton Trans. 2019など)。現在、これらをの新規化合物を用いた自己組織化によるマイクロ構造体の形成と光共振器特性について検討し、レーザー特性やそれらの連結による光伝搬、マイクロアレイの形成による光論理ゲート、光集積回路の構築を進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規発光性化合物の合成、集合化、および光共振器特性の評価と解析など、おおむね計画通りに進行している。現在、共役系有機分子の基板表面での自己組織化によるアレイ形成と光スイッチング挙動、π共役デンドリマーマイクロ結晶による光捕集性マイクロレーザー、π共役ポーラス結晶における発光変化を利用した蒸気センシング、マイクロ球体の連結による光論理回路、発光性液体液滴による光共振と温度センシングに関して、論文投稿中もしくは準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は本プロジェクトの最終年度であるため、これまでに集めた新規化合物やそれらを用いた光共振器に関する研究結果をまとめ、論文発表を行う。また、基板表面に形成した光共振器アレイをポリマー光ファイバーで連結し、球体間での光信号の伝達、およびスイッチング、さらには光論理回路の形成を行う。
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