研究課題/領域番号 |
16H02088
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水落 憲和 京都大学, 化学研究所, 教授 (00323311)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ダイヤモンド / NV中心 / NVセンタ / 量子センサ / 量子技術 |
研究実績の概要 |
H29年度は研究目標達成のため、原子レベルでの表面平坦化による表面付近のNV中心の特性向上(スピンコヒーレンス時間の長時間化及び電荷安定化)に向けた研究、低温下での磁気共鳴が可能な共焦点レーザー顕微鏡装置の構築、室温下での高磁場・高周波での磁気共鳴が可能な共焦点レーザー顕微鏡装装置の構築、半導体n型ダイヤモンドを用いた電荷状態の安定化にむけた研究を進めた。 原子レベルでの表面平坦化による表面付近のNV中心の特性向上に向けた研究では、合成は金沢大の徳田氏らのCVD合成装置を用い、評価を京大で行った。試料作製に関し、NV中心濃度の最適化条件の探索を行い、NV-の電荷状態安定化に関する重要な知見を得ることができ、次年度に、原子レベルでの表面平坦化試料における研究試料作製とその試料における特性評価研究を行うことにめどをつけることができた。 低温下での共焦点レーザー顕微鏡装置については、京都大学への異動に伴い、装置の運搬、実験室における回収ライン整備等の環境整備や共焦点レーザー顕微鏡装置の立ち上げを行った。 室温下での高磁場・高周波での磁気共鳴が可能な共焦点レーザー顕微鏡装装置の構築ではH28年度は計画通り、主に高周波照射用のアンテナ作製を行い、改善を図ることができた。 半導体n型ダイヤモンドを用いた電荷状態の安定化にむけた研究ではリンドープn型ダイヤモンドの評価を行った。試料合成は産総研で行った。これまで電荷状態を100%近くNV-にするリンドープn型ダイヤモンドにおいて、電子スピンのコヒーレンス時間の最高値は50マイクロ秒であった。最近、ダイヤモンド試料の高品質化や測定系の最適化等の改善により、数百マイクロ秒までコヒーレンス時間を延ばせることを実証した。更にデカップリング法を用いることにより、ミリ秒まで伸ばし、リンドープによる電荷状態安定化とコヒーレンス時間の長時間化の両立を実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原子レベルでの表面平坦化による表面付近のNV中心の特性向上に向けた研究では、計画通りに、次年度に、原子レベルでの表面平坦化試料における研究試料作製とその試料における特性評価研究を行うことにめどをつけることができ、おおむね順調に進展している。 低温下での共焦点レーザー顕微鏡装置については、京都大学への異動に伴い、装置の運搬、実験室における回収ライン整備等の環境整備や共焦点レーザー顕微鏡装置の立ち上げを行い、おおむね順調に進展している。 室温下での高磁場・高周波での磁気共鳴が可能な共焦点レーザー顕微鏡装装置の構築ではH28年度は計画通り、主に高周波照射用のアンテナ作製を行い、特性項を向上させることができ、研究は順調に進展している。 半導体n型ダイヤモンドを用いた電荷状態の安定化にむけた研究ではリンドープn型ダイヤモンドの評価を行った。試料合成は産総研で行った。これまで電荷状態を100%近くNV-にするリンドープn型ダイヤモンドにおいて、電子スピンのコヒーレンス時間の最高値は50マイクロ秒であった。最近、ダイヤモンド試料の高品質化や測定系の最適化等の改善により、数百マイクロ秒までコヒーレンス時間を延ばせることを実証した。更にデカップリング法を用いることにより、ミリ秒まで伸ばし、リンドープによる電荷状態安定化とコヒーレンス時間の長時間化の両立を実証し、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
原子レベルでの表面平坦化による表面付近のNV中心の特性向上に向けた研究では、原子レベルでの表面平坦化試料における研究試料作製とその試料における特性評価研究を行うことにめどをつけることができたので、今後は試料の特性評価研究を推進していく。更に最先端のパルス系列を用いた測定による高感度化についても検討を行い、実際の測定系を想定した場合における高感度化に向けた研究を推進していく。 室温下での高磁場・高周波での磁気共鳴が可能な共焦点レーザー顕微鏡装装置の構築では高周波照射用のアンテナを行ったので、それを用い評価研究を推進していく。投入される電磁波の効率化による高感度化へ向けた検討を行い、更に評価研究を推進していく。 半導体n型ダイヤモンドを用いた電荷状態の安定化にむけた研究ではスピンコヒーレンス時間の長い試料の合成及び評価ができたので、今後はその試料を用いて、原子レベルでの表面平坦化による表面付近のNV中心の特性向上に向けた研究でも、高品質n型ダイヤモンドを使用できないか検討し、実際の測定系を想定した場合における高感度化に向けた研究を推進していく。 低温下での共焦点レーザー顕微鏡装置については、測定条件の最適化等を行い、今後の研究を推進していく。
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