研究課題
H29年度に続き、n型ダイヤモンドにおけるNV中心のスピンコヒーレンス時間(T2、T2*)の測定を行い、更にAC磁場感度測定を行った。T2の長さが最長の2.4ミリ秒のNV中心において、数ナノテスラ/(Hz)1/2の感度が見積もられ、単一NV中心における世界最高のAC磁場感度を実証した。また、磁気シールドを施すことにより、T2*が最長で1.5ミリ秒の観測をすることができた。ノイズスペクトロスコピー及びT1測定によるノイズ源の評価を行った。リン濃度よりも常磁性不純物欠陥の量が多いことが分かった。これは今後の高品質合成に指針を与える重要な結果である。またH30年度は更に、H29年度に得られていた最適リン濃度と同程度のリン濃度を持つ3つのダイヤモンド試料を新たに測定し、同様に2ミリ秒以上のT2が観測され、再現性が得られた。電荷測定も行い、T2の長いNVにおいても電荷状態が100%であることが確かめられ、リンドープによる電荷状態安定化とコヒーレンス時間の長時間化の両立を実証した。n型ダイヤモンド半導体はNV中心を用いたデバイスには必須となるため、そのn型ダイヤモンドにおいて最長のコヒーレンス時間が得られたことは、将来の応用研究にとって非常に意義深い基盤研究成果と言える。本成果は特許出願し、論文準備中である。原子レベル表面平坦ダイヤモンド試料の研究では、窒素ドープ量とNV中心の生成量の最適条件や表面状態と安定性を調べるため、表面平坦化と同条件で作製した試料にて、数十nmから数百nm程度の深さに存在するNV中心を調べた。原子レベル表面平坦化は水素終端により実現するが、水素終端表面においては正孔が表面付近に生成し、NV-の電荷状態が不安定になることも懸念された。しかし、適度な窒素がドープされている事で電荷状態が安定にNV-になっていることが確かめられ、今後の研究につながる結果が得られた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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