研究課題
本研究では、プラズモニックチップを用いることで神経活動における自発活動を1 msのリアルタイムで計測し、広い視野にわたる自発活動を観察した。用いたプラズモニックチップは480nmの周期構造をもち、銀でコーティングされ、格子結合型表面プラズモン共鳴による増強電場によって蛍光を増強させることができる。このプラズモニックディッシュ上で20日程度培養したラット胎児海馬神経細胞にDi-4-ANEPPSというVSD(色素)を展開し、蛍光信号(スパイク)を増強させることで、通常のガラスベースディッシュで埋もれてしまった信号を評価することに成功した。今年度は、このプラズモニックチップから得られた増強蛍光について、プラズモニックパターンの構造に依存した蛍光強度分布を調べた。その結果、直径20マイクロmのBull's eyeパターンが六方格子に並ぶアレイでは、パターン間においても伝搬波によって増強蛍光が得られること、パターンの円中心においては若干の増強が得られていたが、落射モードにおいてはCY5フィルター下で蛍光強度分布が非常に小さくなることが示された。一方、透過モードにおいては、円中心において10倍近くの増強が見られることが示された。このような共鳴条件の違いに基づいた増強蛍光分布はパターン構造を検討することで、分布の大小を検討することができることがわかった。また、興奮性神経伝達における主要な受容体分子であるAMPA型グルタミン酸受容体(AMPAR)に量子ドット(QD)を標識し、Bull’s eye型Auプラズモニックチップ上で培養したラット海馬由来神経細胞の細胞表面における分子動態の蛍光解析を行った。神経細胞表面に局在するQD標識AMPAR分子の蛍光像はカバーガラス上で培養した結果よりも蛍光強度値が高く、細胞表面分子動態の蛍光イメージングに有用であることが示唆された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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