研究課題
昨年度までに製作してきた、極低温超高真空マイクロ4端子電気伝導ーSQUID結合装置を稼働させ、原子層超伝導の検出実験を行っている。現在の感度は単原子層超伝導の検出までに至っていないが、数十原子層厚の超伝導体のマイスナー効果を検出できるようになった。これは、試料を超高真空中に保持したまま、超伝導反磁性を検出する装置であり、世界的にも類を見ないユニークな実験装置となった。また、原子層超伝導物質系の探索研究として、新たに2つの物質系を発見した。(1)トポロジカル結晶絶縁体であるSnTeの表面上にIn原子層を積層させると、Inの超伝導転移温度より高い温度で超伝導に転移することを発見した。これは、InとSnTeの界面に誘起された超伝導であり、トポロジカル超伝導状態の可能性がある。次には、それに特有なマヨラナモードの検出を目指す。(2)Si(001)表面上に形成されたTlとAuの2原子層が電荷密度波と超伝導転移を起こすことを発見した。磁場印加によって超伝導・絶縁体転移を起こすと、絶縁体状態が電荷密度波相であることを突き止めた。また、超伝導と並ぶ無散逸伝導を示する量子異常ホール効果状態を比較的高温で実現する候補物質系として、MnTe/BiSbTeヘテロ構造を発見した。MnTe層の磁性秩序によって、トポロジカル絶縁体であるBiSbTeのデイラック型表面状態にギャップが開くこと、MnTeが室温まで強磁性を示すことを光電子分光法やSQUID測定によって明らかにした。これによって、表面状態に開いたエネルギーギャップは非自明なギャップであるため、カイラルエッジ状態が形成されているはずで、その状態を通る無散逸伝導を直接検出するのが次の目標である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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