研究課題
分光器実験が可能となった中性子非弾性散乱装置POLANOでは、これまでに磁気励起および格子振動の測定例がなかったT*構造銅酸化物La1-x/2Eu1-x/2SrxCuO4の非弾性散乱スペクトルを取得し、超伝導化に必要なアニール前後の比較を行う事ができた。アニールによる明確な変化は測定精度の範囲で認められず、構造異性体であるLa2-xSrxCuO4(LSCO)のホールドープ効果とは異なる可能性を見いだした。LSCOに関しては、以前に取得した実験結果に対して詳細な解析を行い、磁気励起にエネルギー階層性があることを提案し、論文にまとめることができた。さらに本研究対象であるマルチダイナミクスの特徴として、磁気励起と格子振動の協調的励起状態がLSCOであることをつきとめた。また、この混成状態、特にスピンチャンネルの状態密度が超伝導転移温度のホール濃度依存性と同様な変化をすることも明らかにし、本研究課題の目的を一定程度達成した。一方、SEOP偏極デバイスについては、高度化と分光器に実装可能なコンパクト化を進めたものの、コロナ禍のために施設での作業が非常に限られたため、偏極中性子実験を研究期間内に行うには至らなかった。しかし、デバイス持ち込みの安全審査を進め、オンサイトでSEOPの性能評価を行うことはできた。これはパルス中性子源施設において始めての成功例であり、種々の調整に十分な時間が取れるようになれば、偏極ビームの発生が可能な状況になったと言える。強磁場環境との共存についても、検討は行えたものの、十分に施設内での作業が行えなかったため環境構築には至らなかったが、単独での使用については目処を付けることができた。研究の主要パーツを揃えることはできたので、これらを組み合わせることにより、マルチダイナミクスの分離が行える状況に近づけることができた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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