研究課題/領域番号 |
16H02130
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
永目 諭一郎 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 上席嘱託 (80354885)
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研究分担者 |
Chiera Nadine 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 博士研究員 (00807498) [辞退]
塚田 和明 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主席 (30343916)
佐藤 哲也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (40370382)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 超重元素 / 超重原子ビーム / 価電子構造 / イオン化エネルギー / 吸着エンタルピー / シングルアトム / 表面電離 / 真空クロマトグラフ |
研究実績の概要 |
加速器で合成される原子番号100を超える超重元素の化学的研究に、量子(原子、イオン)ビームの手法を導入して新たな研究の展開を図ることを目的とする。本研究では、シングルアトムレベルで合成される超重元素を低速原子ビームとして取り出す技術を開発し、超重原子のスピンを実験的に決定し、その価電子構造を明らかにする。併せて、イオンビーム法の高度化を進め、超重元素のイオン化エネルギーや超重原子の金属表面への吸着挙動を調べ、相対論効果の影響を受けた価電子構造と化学挙動の関連を明らかにする。 平成30年度は、以下の3テーマをもとに遂行した。 (1)低速超重原子ビーム取り出し技術の開発:高温ノズル型原子ビーム生成装置を用いて、Cd原子ビームの取り出しテストを行った。ノズルからの取り出し効率、原子ビームの放出角度分布などを測定した。並行して、高温ノズル内での原子の挙動をモルフローコードを用いてシミュレーション計算を行った。現在、実験値との比較を行っている。 (2)イオンビーム生成技術の高度化:これまでの表面電離型イオン源を改良し、フェルミウム、メンデレビウムおよびノーベリムのイオン化エネルギーの測定に成功した。成果を論文として取りまとめた。 (3)超重原子の金属表面への吸着:開発(2)の表面電離に用いた金属製イオン源(円筒型キャビティ)を真空クロマトグラフ装置として使用し、103番元素ローレンシウムの吸着挙動の観測に成功した。実験値を評価(吸着エンタルピーの取得)するために金属表面での吸脱着とイオン化のプロセスを仮定したシミュレーション計算のコード開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超重原子ビーム発生装置のテスト実験まで進捗している。また原子ビームのノズル内挙動をシミュレーションし、実験結果と比較できるようになってきた。 重アクチノイド元素、フェルミウム、メンデレビウム及びノーベリウムのイオン化エネルギー測定結果を論文として発表した。 ローレンシウムの吸着挙動評価のためのシミュレーション計算コードの開発もほぼ終了し、実験結果と合わせて報告予定である。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には「6.研究実績の概要」で述べた3研究課題を継続する。 (1)では、加速器で合成した短寿命同位体を原子ビームとして取り出す実験を開始する。また原子のスピン状態を調べるための磁場フィルターの設計などを開始する。 (2)では、より高いイオン化エネルギーが予想される超アクチノイド元素ラザホージウム(原子番号104)のイオン化エネルギー測定に向けて新たなイオン源の開発を行う。 (3)ローレンシウムの吸着挙動を確認したので、シミュレーションや理論計算をもとに金属表面への吸着エンタルピーを求める。また他の重アクチノイド元素の吸着実験に着手する。
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