研究課題/領域番号 |
16H02132
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
柳下 明 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 名誉教授 (80157966)
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研究分担者 |
峰本 紳一郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90323493)
二木 かおり 千葉大学, 大学院融合科学研究科, 助教 (10548100)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 超高速光電子回折法 / X線自由電子レーザー / 分子光化学反応 / 光異性化反応 / 分子ムービー |
研究実績の概要 |
Velocity map imaging spectrometer (VMI)を心臓部とする光電子回折計実験装置のアップグレード作業を実施した。すなわち、イオン検出器を高品質なものに交換し、カメラはリサーチグレードのものに交換した。さらには、古いターボ分子ポンプは新品に置き換えた。計測系を強化するために、8chのデジタル・ディレイおよびデジタル・オシロを新規に購入した。約一年間にわたる実験装置のアップグレード作業を終了したあとの2月13日から2月16日の期間、SACLAのEUV領域の自由電子レーザー(EUV-FEL)を使った実験を実施した。この実験では、ポンプの光学レーザー・パスルとプローブのEUV-FELパスルの到達時間差の計測法を確立させておくために、800nmの近赤外レーザー・パスルによる、EUV-FEL由来の光電子のサイドバンドの測定をおこなった。その結果、Ar 3p光電子の複数のサイドバンドの測定に成功し、到達時間差ゼロの計測法を確立することができた。 これまでの研究成果は2編の論文(Structure determination of molecules in an alignment laser field by femtosecond photoelectron diffraction using an X-ray free-electron laser, Sci. Rep. 6, 38654 (2016). Theory of time-resolved x-ray photoelectron diffraction from transient conformal molecules, Phys. Rev. A 95, 043404 (2017))として出版している。前者は、2017年1月13日の科学新聞に紹介記事が掲載された。さらには、これらの二つの研究成果は、今年の夏にオーストラリアで開催される国際会議において招待講演の依頼を受けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験技術のグレードアップに関しては、初期の目的を達成した。EUV-FELの利用開始が遅れたために、二原子分子(IBr)で計画していた最初のポンプ-プローブ実験は、次年度2017年5月16日から5月19日となっている。
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今後の研究の推進方策 |
SACLAでは2016年度よりEUV-FELが利用可能になったので、今後は光学レーザー・ポンプでEUV-FELプローブの実験に集中する。そして、分子光化学反応の超高速分子イメージングを世界に先駆けて実現するよう努力する。
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