研究課題/領域番号 |
16H02134
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
吉田 光宏 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (60391710)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 加速器 / フォトニック |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、現在の常伝導・超伝導のどちらの加速器技術でも到達困難なエネルギーフロンティアの高エネルギー加速器の小型化を目指して、①超伝導加速空洞と代替可能な非常に高いQ値(>10^6)と②常伝導加速空洞を越える超高電界(100MV/m)の双方を自手源する、今までにない、常温または液体窒素温度で動作可能な誘電体フォトニック構造を用いた加速空洞の原理実証を目的としている。 本研究の加速管構造としては、誘電体と真空部が周期的に並ぶ2次元フォトニック構造数層で高周波電力の大部分を内部に閉じ込め、最外殻部に位置する常伝導壁での電界強度を下げ、高周波損失を低減化させるフォトニックアシスト型とする。 研究実績として、5セルの誘電体フォトニックアシスト空洞の高電界試験を行っているが、現在高電界試験を行っている真空チャンバーは真空度が十分でない事による、放電による電界の到達限界があった。 昨年度この真空チャンバーにイオンポンプを増設し、ベーキングを行って真空度を良くした状態で高電界試験を行っている。さらにこの真空チャンバーではOリングを用いておりベーキング温度が上げられないため、オールメタルガスケットの真空チャンバーを製造した。 以上のような加速空洞のR&Dとあわせてセラミック自体の高純度化・高品質化の研究も行ってきている。一般的に、セラミックでの誘電損失は、セラミック焼結時に添加する焼結補助剤などの不純物やセラミック内部の気孔、微小な欠陥などの場所で起こるものが支配的である。そのため、セラミック自体の高純度化・高品質化の結果によっては室温でさらに高いシャントインピーダンスの加速空洞が実現できる可能性もある。このようなセラミックの高純度化・高品質化に向けた、焼結試験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、現在の常伝導・超伝導のどちらの加速器技術でも到達困難なエネルギーフロンティアの高エネルギー加速器の小型化を目指して、①超伝導加速空洞と代替可能な非常に高いQ値(>10^6)や高いシャントインピーダンス(>1GΩ/m)と②常伝導加速空洞を越える超高電界(100MV/m)の双方を自手源する、今までにない、常温または液体窒素温度で動作可能な誘電体フォトニック構造を用いた加速空洞の原理実証を目的としている。 高いQ値やシャントインピーダンスを得るのに必要なのは最適な誘電体材料の開発であり、誘電体材料の材料評価を行ってきている。 さらに高電界到達に必要な、真空チャンバーへのイオンポンプの増設等が完了し、またオールメタルの真空チャンバーの製造も完了した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの各試験結果から、その問題点や改善点を検討し、新たに単空洞の設計・製作を行う。それと同時に、セラミックセルの材質を変えた空洞モデルや、マルチレイヤーのフォトニック構造を用いた空洞モデルなど、いくつか並行して空洞製作・性能試験を行い、目標とする空洞性能の実現に向けて最適な条件を探索する。 以上のような加速空洞のR&Dとあわせてセラミック自体の高純度化・高品質化の研究も行っていく。一般的に、セラミックでの誘電損失は、セラミック焼結時に添加する焼結補助剤などの不純物やセラミック内部の気孔、微小な欠陥などの場所で起こるものが支配的である。そのため、セラミック自体の高純度化・高品質化の結果によっては室温でさらに高いシャントインピーダンスの加速空洞が実現できる可能性もある。セラミックの高純度化・高品質化に向けて、具体的には、熱間等方加圧(HIP)を用いた(1)焼結補助剤フリーの高純度セラミック焼結や(2)高密度化試験を行っていく。
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