研究課題/領域番号 |
16H02164
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松尾 太郎 大阪大学, 理学研究科, 助教 (00548464)
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研究分担者 |
芝井 広 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70154234)
住 貴宏 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (30432214) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 太陽系外惑星 / 超高精度分光測光 / 赤外線 / 宇宙望遠鏡 |
研究実績の概要 |
本科研費は、将来の宇宙望遠鏡において生命居住可能領域(ハビタブルゾーン)にある地球型系外惑星の分光観測を進めるため、将来の宇宙望遠鏡計画への提案および、高安定分光器の実現可能性を試験するものである。2016年度は、二つの点で重要な成果を収めることができた。一つは、本科研費で実証を進める、太陽系外惑星の分光観測のための超高安定分光器(瞳収縮分光器)の原理に関する論文が受理されたことである。この瞳収縮分光方式は、従来の分光器と全く異なるアプローチによって、望遠鏡の指向誤差や主鏡の光学的エラーに対する測光誤差を大きく減らし、従来の測光精度を10倍以上高めるものである。二つ目の重要な成果は、NASAが計画する、10m級の極低温宇宙望遠鏡計画(Origins Space Telescope: OST)において、そのOSTを推進する主要メンバーから本方式の有用性が認められ、OST計画の一つの主要な装置として検討を進めることになったことである。この装置は、中間赤外線においてトランジット分光により惑星の熱放射および大気の分光を行うことによって、OST計画における主要な科学目標の一つである「太陽系外惑星における生命探査および惑星の居住環境の調査」を実行するものである。この科学目標を達成するための鍵となる技術が、この瞳収縮分光器である。以上より、本科研費における目的の一つである、将来の宇宙望遠鏡への本方式の提案は成功し、次の段階「瞳収縮分光器の実証」へと進むことができたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本科研費は、将来の宇宙望遠鏡において生命居住可能領域(ハビタブルゾーン)にある地球型系外惑星の分光観測を進めるため、将来の宇宙望遠鏡計画への提案および、高安定分光器の実現可能性を試験するものである。2017年度は、NASAが計画する、10m級の極低温宇宙望遠鏡(Origins Space Telescope: OST)において、本方式の有用性が認められ、OST計画の一つの装置として検討を進めることになった。このように、本科研費における目的の一つである、将来の宇宙望遠鏡への本方式の提案は成功し、次の段階へ進むことができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は、2016年度に構築されつつある、NASAとの協力関係を発展させて、実現可能性の検討をさらに進めることである。まず、現状について説明する。大阪大学で構築を始めているテストベッドは、財源の制限により室温での環境下での非冷却の中間赤外線カメラを利用したものになる予定である。しかし、宇宙望遠鏡への搭載には、宇宙環境と同様の環境下で実験を遂行し、Technical Readiness Level (技術資産)を高めることが要求される。そこで、NASAとの協力において、TRLを高めるべく、宇宙環境を模擬した実験環境において高安定分光器の実証を行うことである。具体的には、大型の極低温真空容器に高安定分光器を挿入し、スペース専用の極低温環境での中間赤外線検出器を組み込む。
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