現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で述べたように、NGC1068の中心核活動の起源を探るために、すばる望遠鏡の超広視野カメラ Hype Suprime-Camによる可視光撮像観測を行い、孤立銀河であると考えられてきた NGC1068 の外縁部に衛星銀河の合体によって形成されたと考えられる潮汐痕を発見することに成功した。NGC1068の中心領域には擾乱を受けた非対称な構造があることがわかっており、合体してきた衛星銀河の中心核(超巨大ブラックホール)がNGC1068本体の超大質量ブラックホールへガス供給を果たす役割をしていることを強くし刺さる結果となった。全ての銀河中心核の活動性は銀河中心核(超巨大ブラックホール)を有する銀河の合体によって誘起されるという統一モデルをすでに提案してきたが (Taniguchi 1999, ApJ, 524, 65)、この統一モデルを補強することができた(Tanaka, Yagi, and Taniguchi, 2017, PASJ, 69, 90、なおこの成果はすばる望遠鏡からプレスリリースされ、新聞等でニュースとして取り上げられた)。銀河中心核の活動性は、スーパーウインドとは異なるモードでのアウトフローを生成するので、銀河と銀河間空間の共進化を調べる上で、重要な研究課題の一つになっていることを明記しておく。 ALMAサイクル5で赤方偏移z=3のDLAに関する観測提案が1件採択された(DLAとスーパーウインドの関係を探ることを目的とした研究である)。これは本研究課題に直接関係する研究計画であり、研究が順調に進んでいる証左である。また、ALMAからインタビューを受け、”視力6000で見る宇宙:130億光年以上先の宇宙最初の銀河を探す”という記事がALMAのホームページで公開されたことも情報公開の一環として有効に機能したと考えられる。
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