研究課題/領域番号 |
16H02169
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
泉浦 秀行 国立天文台, ハワイ観測所, 准教授 (00211730)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 光赤外線天文学 / 太陽系外惑星 / ドップラー法 / G型巨星 / 188cm望遠鏡 / 高分散分光器 |
研究実績の概要 |
188cm望遠鏡の高分散分光ロボット望遠鏡化について、観測者が事前に目的天体のリストを用意すれば、人が立ち会わずとも、望遠鏡とドームと観測装置が連携して動作し、観測天体の選定、露出時間の決定、天候の判断、天候に伴う観測の一時停止と再開などを自律的に行い、目的天体や較正光源のスペクトルデータを取得し続け、一晩の観測を自動で完了するシステムを、小改良を加えながら一年間を通して稼働させることができた。 高分散分光器HIDESについて、温度安定性の調査を進め、分光器設置環境の気温安定性をP-Vで0.1℃まで向上させるられる条件を見出した。 系外惑星探索で取得したデータの処理について、研究協力者と連携し、ロボット望遠鏡で日々取得される二次元スペクトル画像の生データから、一次元化されたスペクトルデータを取り出す一次処理の段階を自動化した。 系外惑星探索の観測を約40夜実施し、前年度までに進めてきた約500星の巨星についてのドップラー法探索を継続するとともに、新たな基準で選出した天体リストから約50星について探索を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初目標通り、188cm望遠鏡と高分散分光器による系外惑星のドップラー探索について、目的天体リストからの観測天体の選出、状況に合わせた露出時間の決定、天候悪化・好転の判断と観測の中断・再開の実行など、観測手順書の生成まで含めて自律的に自動実行し夜明けとともに完了するシステムを、小改良を加えながら一年間継続して稼働させることができた。また、取得された観測生データを整約し一次元スペクトル化する過程を自動的に処理する機能を実現できた。分光器の安定化向上のための一つの方策も見出すことができた。これらによりドップラー法による系外惑星探索をさらに推し進めることができた。ただし、188cm望遠鏡の観測時間の獲得が、年間100夜程度の目標に対し、実際は約40夜に留まり、また、新規に探索を開始できた天体も約50星に留まったことから、本年度はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画を概ね踏襲し、ほぼ完成したロボット観測システムを可能な時は常に稼働させ続け、その中で明らかになってくるさらなる問題点を研究協力者と連携して解決しながら、188cm望遠鏡の系外惑星探索ロボット化をさらに完成させる。高分散分光器の温度安定性もさらに改善し、系外惑星探索の能力向上に取り組む。また、このシステムで取得され、自動的に一次整約された観測データについて、解析を自動的に進めるソフトウェアの開発に取り組む。このシステムによりG型巨星におけるドップラー法系外惑星探索を最大限展開する。
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