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2018 年度 実績報告書

新型光検出器で築く次世代南極ニュートリノ望遠鏡による深宇宙高エネルギー現象の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H02174
研究機関千葉大学

研究代表者

石原 安野  千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (40568929)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2021-03-31
キーワードニュートリノ検出器
研究実績の概要

本年度前半までの開発の進展状況およびデザインとその性能が評価され、本研究によってプロトタイプ検出器が開発されてきた新型光検出器D-Eggは世界12か国300人の共同研究者からなる国際共同プロジェクトにおいて、正式に採用され2022年に南極点氷河に埋設されることが決定した。この決定をうけ新型光検出器の本研究開発の方針として個々の部品の性能向上研究に加え、実際の南極氷河中で埋設後10年にわたり確実にIceCube実験の一部として稼働することを目指した。この目標にむけ、南極点での建設を担う米国科学財団との取り決めに沿った正式な国際レビューが開始し、第一回目となる2018年9月に行われたDesign Reviewでは、アメリカやドイツからの審査員により詳細な主要部品の評価が行われ、PMT、耐圧ガラス球、光学シリコンゲルについては要求値を満たしていることを確認された。PMTの高電圧基板についてはその効率が低いことが問題視され、新たな部品選定が必要となったが、その後基準を満たす候補の選定することで改善した。また、今年度は読出し基板のプロトタイプの製作を開始した。温度変化や輸送時振動に耐えうる堅朗性を確かめると共に、詳細な性能評価を行った。堅朗性要求を満たすものであることは確認できたが、電気ノイズが高いことが懸念事項として残り、この改善を今後の課題とする。また、新型光検出器は、南極点氷河中では氷中光伝搬を理解するための較正装置としての役割も果たす。光検出器モジュール内には較正光源となる12個の紫外LEDを設置する。このためGEANT4をベースとした氷河中の光伝搬の詳細な理解に向けたシミュレーションを行い、LEDの配置及び特性の最適化を開始した。IceCubeデータの解析も行い世界最高感度での10PeVより上のエネルギー領域における宇宙ニュートリノ流量に対する制限をつけ論文として出版した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに本研究提案によってプロトタイプ検出器が開発されてきた新型光検出器D-Eggが大型国際共同プロジェクトにおいて正式に採用され、2022年に南極点氷河に埋設されることが決定したことは非常に大きな進展である。このことによりより詳細にコラボレーションとしてレビューを行うテクニカル審査チームが結成され、デザインに見落としがないかの精査が始まった。南極点での長期安定稼働に向け、当初の想定よりもより厳しい要求が課されることになり、いくつかのデザインについてはより堅朗性の高い部品を使うことが推奨されアップデートが必要となる。この部分においては遅れが生じることとなるが、全体的な検出器デザインのクオリティおよび共同研究者内での協力体制は向上はしているため、研究計画内における新型検出器の完成を見通すことが出来る。

今後の研究の推進方策

今後の課題は読出し基板の改善である。そのほかの部品については最終試験を残し概ね方向性は見えているため、読出し基板を完成させることが非常に重要である。特に南極点にあるコントロールルームからのコントロール及びデータ取得を可能とするためにIceCube実験側との綿密なコミュニケーションを図ったうえでの完成を目指す。今後は引き続き長期間の安定稼働をすることができる検出器を完成させるために、完成機に近いプロトタイプに対しストレス試験などを行っていく。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] University of Wisconsin at Madison(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of Wisconsin at Madison
  • [雑誌論文] Neutrino emission from the direction of the blazar TXS 0506+056 prior to the IceCube-170922A alert2018

    • 著者名/発表者名
      A. Ishihara, R. Nagai, K. Mase, S. Yoshida, L. Lu, Y. Makino 他 IceCube Collaboration
    • 雑誌名

      Science

      巻: 361 ページ: 147-151

    • DOI

      https://doi.org/10.1126/science.aat2890

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Differential Limit on the Extremely-High-Energy Cosmic Neutrino Flux in the Presence of Astrophysical Background from Nine Years of IceCube Data2018

    • 著者名/発表者名
      A. Ishihara, S. Yoshida 他 IceCube Collaboration
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 98 ページ: 062003

    • DOI

      https://doi.org/10.1103/PhysRevD.98.062003

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Constratins on UHECR sources with 9 years of the IceCube EHE data2018

    • 著者名/発表者名
      Aya Ishihara
    • 学会等名
      VLVnT - 2018 Very Large Volume Neutrino Telescopes
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Development of the front-end electronics for the new optical module “D-Egg” for IceCube-Gen22018

    • 著者名/発表者名
      Ryo Nagai
    • 学会等名
      5th International Workshop on New Photon-Detectors
    • 国際学会
  • [学会発表] D-Egg: A next-generation optical module for IceCube2018

    • 著者名/発表者名
      Yuya Makino
    • 学会等名
      VLVnT - 2018 Very Large Volume Neutrino Telescopes
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Recent results on astrophysics and particle physics from IceCube2018

    • 著者名/発表者名
      Aya Ishihara
    • 学会等名
      XLVIII International Symposium on Multiparticle Dynamics (ISMD 2018)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] アイスキューブ・ジェンツ―(IceCube-Gen2)で視る宇宙ニュートリノ2018

    • 著者名/発表者名
      Aya Ishihara
    • 学会等名
      "2019年 春季物理学会 シンポジウム 「ニュートリノで拓く素粒子と宇宙」 "
    • 招待講演
  • [備考]

    • URL

      www.icehap.chiba-u.jp/frontier/pubNA2018.html

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公開日: 2021-01-27  

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